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ニュージーランドプチ留学~インドの危険なお祭り~

初めての夜はぐっすり…というわけにもいかず、酷い時差ぼけから来る頭痛に苦しめられました。
真夜中の2時と4時、それぞれ1回ずつ激しい頭痛で目が覚めました。日本から持参した頭痛薬に感謝しつつ、水道水で薬を流し込みます。

ちなみにニュージーランドでは水道水をそのまま飲むことができますし、現地のスーパーマーケットやドラッグストアでもPanadolという解熱鎮痛薬が市販されています(カロナールと同じアセトアミノフェン系)。

朝を迎え、食欲はいまだにありませんでしたが、ちゃんと食べる事が時差ぼけ解消のヒントとの情報を得ていたので、朝食チケットを受け取りにフロントまで向かいます。

「グッドモーニング…えっと、アイ ウォント トゥー イート ブレイクファスト…」

「Breakfast ticket?Room number please.(朝食チケットですね、部屋番号を教えてください) 」

「…サーティーン…」

時差ぼけ、寝起きで数字がなかなか出てきません。

「Thirty?」

「あわわ、Thirteen…」

ようやくフロントで朝食チケットを手にした私は、ホテルが提携しているカフェへと向かいます。ホテルから出て数十歩の場所です。

「Hello,good morning.」

ホテル宿泊者が選べるメニューを提示されますが、メニューを見ても何が何だかイマイチよく分かりません。

(とりあえずたまごだ…Eggを選んでおけば事故ることはないだろう)

ここで渡航前に練習した英語のフレーズを使ってみようと思いました。

「Can I have this one?(メニュー指差し)」

「Okay,take your seat.」(メチャ速)

(…シー…?速ッ、この人今、なんて言ったの?あっ、もしかして「レシートは必要ですか」って事?)

「No,thank you!」

「…?」

「あっ」

カフェ店員さんと私の間に微妙な空気が流れます。最初の頃はseat(席)とreceipt(レシート)の違いを全く聞き取れませんでした。

そんなこんなで苦戦しながらようやくありつけた初めての朝食がこちらです。

OLIVANIはスーパーマーケットにビッグサイズのものが売ってました

贅沢にもオリーブオイルに漬け込まれたバターをパンに塗って食べます。たまごも日本のものとは少し風味が異なる気がしましたが、ふわふわで美味しくいただけました。

ボウルのような大きなカップにたっぷり注がれたフラットホワイト

そしてこちらはニュージーランドでポピュラーなコーヒー、フラットホワイトです。優しいミルクの存在感がしっかりと感じられるエスプレッソコーヒーです。
ちなみに友人いわく、このフラットホワイトのラテアートが作れないとニュージーランドのカフェで働く事はほぼ不可能との事です。厳しい世界ですね。

朝食をお腹いっぱい食べ、カフェを後にします。ごちそうさま、に該当する言葉が分からなかったので、店員さんにてんきゅ、(Thank you)と声をかけます。

「Have a good day!」

後々、このフレーズはカフェのみならず、街の様々なお店で沢山耳にすることになりました。
日本だとお店を出るお客さんにかける言葉は「ありがとうございました」が主流なので、新鮮に感じます。

相変わらず頭痛に悩まされていたので、友人との約束の時間までホテル周辺を散策することにしました。

CHEMIST WAREHOUSEはオークランド市街地のあらゆる場所で見かけました。CMもかなりの頻度で放映されており、ニュージーランド版マツキヨと言ったところでしょうか。
スカイタワー付近に77というセブンイレブンにそっくりな名前のコンビニを発見
南半球で一番高いスカイタワー(328m)

スカイタワーからバンジージャンプをキメている若者を眺めながらふと感じた事は「本当に夏なのか…?」というくらいの肌寒さでした。

1日の中に四季がある、と言われるくらい寒暖差が激しいということは事前に聞いていましたが、朝の肌寒さは想像以上でした。特に市街地は日陰が多いので、日陰に入ると思わず身震いするくらいの肌寒さでした。
そんな寒さにも関わらず半袖で出歩いてる人の多いこと。薄手のラッシュガードが大活躍でした。

その後、友人とその友達Nさんと合流し、インドのお祭り、「ホーリー祭」の会場へと向かいました。

車内での2人の英語は相変わらず速く、何か喋らなきゃと焦る一方、どんどん話題は次から次へと移っていきます。
とにかく喰らいついていた私でしたが、次第に喰らいつくのに疲れてしまい、後半はまるで招き猫のようにニコニコ大人しく座る事しかできませんでした。

車も出してもらって、後部座席にいる私のために空調も気遣ってくれて、ここまで親切にしてくれるのに。
なんとお礼を伝えて良いのか。全く言葉が出てこないのです。
英語ができない歯痒さを痛感しました。

車で走る事、約40分。ついに我々はホーリー祭会場に到着しました。
インドにルーツを持つNさんいわく、とてもデンジャラスなお祭りだから心の準備をお願いするよ、との事。
異国に到着して早々、そのまた別の異国のお祭りに足を運ぶなんて、なかなかクレイジーな経験です。

「Happy Holi!!!」

「ギャー!」

背後から近づいてきた若いお兄ちゃんから、背中にオレンジ色の粉を投げつけられます。

「Happy Holi〜」

「うひぃ」

今度は正面からやってきたグラマラスなお姉様から、顔に紫色の粉を塗りたくられました。

「hahaha,Happy Holi〜」

「許して!!」

子どもが青い色水の入った水鉄砲を私のお尻にめがけて思いっきり噴射してきます。

ホーリー祭では、人々が「Happy Holi」と声をかけ合いながら、色粉を塗りあうのですが、本当に容赦ない。
汚れても良い服装で来てね!という言葉の意味がようやく分かりました。
私の顔、髪、服、全てという全てがみるみるうちに色粉に染め上げられます。

「Protect yourself!!」

Nさんが楽しそうに声を張り上げます。
あちこちで色粉が舞います。

「Breathless!!(息苦しい)」

青空の下、酸素を求めて思いっきり叫びます。

顔も洋服も色粉だらけ!
美術科の学生になったみたい

貴重な経験を終え、色粉だらけになった我々はNさんのフラットでシャワーを借りることになりました。
ニュージーランドのほとんどの家庭ではタンクの中に貯められている、電気であたためられたお湯を使う事になります。なので使えるお湯の量には限りがあります。
日本での言い回し「湯水のように」はこの国では使えません。文字通り湯水のようにお湯を使っていたら、次の人は冷水を浴びる事になってしまいます。なのでなるべく手短にシャワーを浴びます。

友人がシャワーを浴びている間、Nさんと2人きりになってしまいました。

(何話せばいいんだろう、どうしよう…)

ほぼ初対面の人とは何を話していいか分からなくなります。さらにそこに言語の壁があるとなおさらです。
日本からお土産に持ってきたチョコレートの存在を思い出し、溶けてるかもしれないから冷やしたほうがよいですよ、と話しかけました。

Nさんはありがとうと私からチョコを受け取り、フラットの共用の冷蔵庫に入れました。

「冷蔵庫は英語でなんていうか分かるかい?」

「refrigerator .」

「その通り!でも僕らは省略してfridge、なんて言ったりするよ。ちなみに電子レンジはどうかな?」

「えっと…あっ思い出した、microwave oven」

「よく知ってるね!これも略してmicrowave、って言うことがほとんどかな。」

NさんからはKiwiたちは略語をよく使うということと、身の回りのものの略語を沢山教えてもらいました。
朝ごはん(Breakfast)はBrekkie、バーベキュー(Barbeque)はBarbie。
教えてもらっている間に友人はシャワーを終え、いよいよみんなで夕飯の時間です。

インド料理屋でテイクアウトしたマンゴーチキンカレーとラムカレー(※宗教の関係で牛肉と豚肉のカレーは売られていませんでした)を食べながら、3人で他愛もない話を沢山しました。
この国で流行っているマッチングアプリは「Bumble」だよ、だとか、今は「マッシュル」がアツいよね、だとか。

ほとんどの会話の内容を理解できたわけではありませんでしたが、生まれも育ちも違う仲間と夕食を囲む不思議な空間を堪能した後、私はハッと現実に返ります。

「明日から学校が始まる…」

「えっ、そのカラフルな顔で学校に行くのかい??(大爆笑)」

「Haha,take it easy!!!」

顔についたなかなか落ちない色粉の心配よりも、明日から始まる語学学校への不安を膨らませながら、その日はまだ外も明るい中、ゆっくりと眠りに堕ちていくのでした。

〜後日談〜

「かぼちゃん、私たちの行ったお祭り、地元のニュースになってる!」

「…確かに帰り、すごい混んでたもんね^^;」

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