ニュージーランドプチ留学~Newmarketでのお買い物~
「Sorry…out of the power…」
いつものように朝食チケットを貰いに行った時に、ホテルのフロントの人が申し訳なさそうに頭を下げます。
初めは何を言っているのか意味が分からなかったのですが、頭の中で理解できる範囲で単語を繋ぎ合わせると、どうやら工事による停電のためにいつも朝食を食べているカフェで朝ごはんが食べられないようでした。
それなら朝ごはん抜きでも別に良いや、と思いホテルから学校に向かおうとすると、ちょっと待って!と強く引き留められ、マネージャーと思われる人がホテルへと飛び出していきました。
5分後、どうやら交渉の末に私は無事に朝ごはんを食べられるようでした。
ホテル側は、私が朝ごはんを抜く事を快く思わないようでした。
後からクレームを避けるためなのか、(これが理由として大きいかも)そもそも朝ごはん抜きなんてありえない!という考えなのか…謎です。
この日はカフェでも街中でも、花束を持った人々をチラホラ見かけました。
…そう、この日は2月14日のバレンタインデー。
友人いわく、ニュージーランドのバレンタインデーは日本のように女性が男性にチョコレートを贈る日ではなく、性別関係なく大切な人にプレゼントを贈る日との事でした。(また、プレゼントもチョコだけに限定していないみたいです。花束とか、化粧品とか、アクセサリーとか…)
誰か大切に想う人に贈るのでしょうか。
制服姿の男子高校生(制服が存在する事にも少し驚き)が、真っ赤な薔薇の花束と、メッセージプレートを持ってバス停に佇む姿を見て、甘酸っぱい青春を感じました。
語学学校に着くと、昨日とはまた別の韓国人の女の子に話しかけられました。
「おはよう!あなた、いつもお昼はどうしてるの?」
ニュージーランドでよく見かける大きなスーパーマーケット、countdownで4個$7で購入したデカワッフルを彼女に見せます。
「…only this?(これだけ?)」
うんうんと頷く私に、彼女は少し唖然とした表情を見せました。
あまりにもテキトーな私の食生活に呆れたのでしょうか。
明日あなたに良いもの持ってくるから、と気を遣われてしまいました。
*
授業を終え、私が向かっていたのはNewmarketです。
とても良い天気だったのでCBDからゆっくり歩いて行ってみる事にしました。距離にすると約2kmほどでしょうか。
途中に「オークランド・ドメイン」という無料で入れる公園があったので立ち寄ります。
公園の中では子どもを連れたママたちが談笑しています。鴨を追いかけ回す子どもに対して母親が何か声をかけています。
のどかな光景に安堵しながらも、厳しい日差しにクラッと目眩がしたので、木陰に入ってひと休みする事にしました。
ぼーっとしながら沢山の小鳥たちを見つめていた時に気がついたのですが、この国に来てから一羽もカラスを見かけていません。
ただ、seagullと呼ばれているカモメは沢山見かけます。
公園を出てからは目的地までどう行けば良いのか分からなかったため、とりあえず小高い丘をズンズン進んでいきます。
「空の中にいるみたい…」
透き通るような青空に、私は思わず立ち止まっては夢中でシャッターを切る事を止められませんでした。
この国の人にとっては当たり前の青空や風景なのかもしれませんが、私にとっては特別で忘れられない、美しい空でした。
自然の中で、仕事も何もかも忘れてぼんやりする時間。
私に欠けていた人生のパズルのピースがカチッと嵌ったような、そんな不思議な感覚を覚えたのです。
丘を下り、しばらく歩くとようやくNewmarketの中心エリアに到着しました。
CBDにもたくさんのお店がありましたが、ここNewmarketにもたくさんのお店がありました。
日本でもよく見かけるAesopの店舗もありましたが、高級感に圧倒されなかなかお店の中に入る勇気がありませんでした。(これは日本でも同じですが…^^;)
友人と合流し、我々はアイスクリームや一風堂のラーメンに舌鼓を打ちました。
ちなみにニュージーランドは国民一人あたりのアイスクリーム消費量が世界一らしいです。
それも納得です。
こんなにも濃厚で美味しいアイスクリーム屋さんが存在するのであれば、消費量が世界一になるのも頷けます!
一風堂は一杯20~22ドルと日本では考えられない値段でしたが、久しぶりの日本の味に舌鼓を打ちました。
(ラーメンのほか、カレーライスのような日本食もメニューとして存在しており、ラーメン屋というよりは日本食レストランのような印象を受けました。)
「せっかくだから記念にお洋服を買ってみるのもいいかもしれないね」
ここ、NewmarketにはWESTFIELDという少し大きな商業施設があり、我々は友人お勧めの可愛いお洋服屋さん、「flo&frankie」に足を運びました。
ニュージーランドは比較的シンプルなデザインのお洋服が多い印象ですが、このお店はフリルやギャザーを多用し、日本人の琴線にも触れるデザインのものが多い印象を受けました。
腰が抜けるほど美しい店員さんに、ドキドキしながら「May I try this on?(試着しても良いかな?)」と話しかけます。店員さんは快く試着室を貸してくれました。
日本では考えられない試着室の広さ(成人女性が2名入っても全く問題ない広さ)に圧倒されながら、複数のお洋服を試着します。
外国のお洋服は実際に着てみないと分からない事が多く、素敵なデザインだと思ったら、想像以上にスリットが深く入っていたり、胸元がガバッと開いていたり、サイズがだぼだぼだったり…
(日本では普段Mサイズを着用している私でもS、もしくはXSサイズでちょうど良いくらいでした)
ちょっぴり高いお買い物でしたが、日本でも着られそうな空色のワンピースを購入し、我々はWESTFIELDを後にしました。駅へ向かう間、明日の予定について話し合います。
「明日は私のフラットメイトと一緒に私のフラットで夕飯を食べよう。」
「せっかくだから日本食が良いよね!簡単なものなら作れるよ。牛丼とかどうかな?」
「ここでは薄切り肉は売ってないんだよね…^^;」
…そうなのです。スーパーマーケットを探しても、この国では肉は大きな塊で売られているのがデフォルトなので、薄切り肉を見かける事は1回もありませんでした。
「ふむ、それではシーフードお好み焼きなんてどうかな?」
私の得意料理で攻めてみます。
「おたふくソースが1本9ドルなんだよね…」
愕然としました。日本の3倍の値段です。
限られた調味料と、限られた条件、日本のものとは違う食材で一体どんな日本食を作れるのだろう。
(もっと日本食の事、勉強してくれば良かった…自炊の練習もすれば良かった…!)
考えて、考えて、考え抜いて、明日の夕食を楽しみにしながら、その日の夜もゆっくりと時間が流れていきました。
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