『スプーンの盾』に行ってきた話

昨年末の話になりますが、プレミア音楽朗読劇『VOICARION XⅦ~スプーンの盾~』に行ってきました。

「VOICARION」は、おそらく声優さんをフォローしていたら一度は耳にしたことがある名前だと思います。アタシもその一人で、「藤沢文翁さんが作・演出で、生演奏がある朗読劇」くらいの認識でした。ずっと気になっていたもののなんとなく行きそびれていたのですが、今回タイミングやら出演者やらがバシッとハマったので、これはいくっきゃないと思いチケを購入。しかもクリスマスときたもんだ!

登場人物はたったの4人。
天才料理人のカレーム、誰もが知る皇帝・ナポレオン、その腹心・タレーラン、カレームの右腕・マリー。フランス革命後に行われた「料理外交」を描いた物語。

アタシが見た回は、カレーム役は牧島輝くん、ナポレオン役は山口勝平さん、タレーラン役は井上和彦さん、マリー役は寿美菜子さんでした。23年は、文翁さんものの牧島くん結構見たな……w 勝平さんと美菜子ちゃんのお芝居を生でちゃんと見るのは多分初で、和彦さんは『夏目友人帳』の朗読劇(いま調べたらこれも文翁さん書き下ろしだったのね!)以来。ベテラン声優陣と若はいくんがどんな化学変化をおこすのか、めちゃくちゃ楽しみだったのですが、結論から言うと、ものすごくよかったです(語彙どこいった)。

どの組み合わせにするか迷いに迷ったぜ……

今回、特に心を掴まれたのは、ナポレオン役の勝平さんのお芝居。どんどんと出世し権力を握っていく一方で、周りが見えなくなり孤独になっていく様子が痛々しかったし、だからこそタレーランと出会った頃の無邪気な姿がとても愛おしかった。
タレーランの和彦さんも素敵だったな。穏やかながらも、どこか底に冷たいものを持っていた彼が、第二幕のマリーとの会話でジワリと温かみを帯びたのが人間臭くてよかったです。
美菜子ちゃんのマリーは盲目の役ということもあり目のお芝居はなかったんだけど(朗読劇でここを封印されるのはなかなかしんどいよね)そんな状態でもマリーの豊かな表情が見えるお芝居で、とても魅力的でした。
牧島カレームは、とことんまっすぐで純粋だったな。たまたまなのかもしれないけど、文翁さんものでの彼は「穢れのなさ」みたいなのを求められている気がしていて、今回もそれにバスッとハマっていました。勝平さんのお芝居もすごくピュアだったから、相性もよかったのかなーなんて思っています。

大好きなんです、朗読劇。
演劇って、見えない部分を想像力で補っていく楽しさがあると思うんだけど、朗読劇はそれが占める割合がさらに大きいんですよね。役者さんのお芝居もむき出しになるから、力量をダイレクトに堪能できるーー。多少の集中力が必要になるけど、そんな部分も含めて贅沢な時間だなって思っています。
アタシがみた日はクリスマスだったので、『きよしこの夜』の演奏と「メリークリスマス!」のコーレス(コーレス?)があって、すてきな物語と相まって、かなり満たされた気持ちで帰路につきました。

メリークリスマス!(大遅刻)

やーこれ、他の組み合わせも見たくなるね。

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