天の川銀河で未知の超巨大泡状構造を新発見!?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「天の川銀河内で発見された新構造」というテーマで動画をお送りしていきます。
Credit: University of Tübingen
マックスプランク地球外物理学研究所が率いる研究チームは、X線による観測で天の川銀河内に未知の巨大構造が存在していることを突き止め、今月9日に発表しています。
今回はそちらのニュースを紹介したいと思います。
フェルミバブル
2010年に、天の川銀河の中心を挟み込むように上下に広がる巨大なガス球が発見されました。
ガス球からは高エネルギーのガンマ線が放たれています。
このガス球は、これを発見したガンマ線観測望遠鏡であるフェルミガンマ線望遠鏡の名前から、「フェルミバブル」と名前が付けられました。
フェルミバブルは非常に巨大で、上下の球がそれぞれ直径約2.9万光年にもなり、上下合わせて6万光年近い範囲に渡って広がっていると考えられています!
天の川銀河内にこれだけ巨大な構造が存在していたと判明し、大きな話題を呼びました。
さらに巨大な新構造
Credit: Jeremy Sanders, Hermann Brunnerand the eSASS team (MPE); Eugene Churazov,Marat Gilfanov (on behalf of IKI)
そして今回、全天をX線によって観測した結果、天の川銀河の上下方向に向かってフェルミバブルよりもさらに巨大な泡状構造が広がっていることが判明しました!
今年の6月、X線宇宙望遠鏡Spektr-RGに搭載されている観測装置「eROSITA」によって、全天のこれまでにないほど詳細なX線分布が作成されました。
現在映っている画像はその時公開されたものですが、天の川中心部から上の方向に巨大な泡状の構造が広がっているのがわかります。
Credit: University of Tübingen
ですが最新の観測によって北極方向と同様の構造が南極方向にも広がっていることが判明し、このことからX線で観測されたこれらの泡状構造も、フェルミバブルと同様に天の川銀河の上下方向に広がる巨大構造ではないかと考えられました。
今回の新構造はeROSITAバブルと呼ばれていますが、eROSITAバブルが本当に天の川銀河の中心部から広がる構造だった場合、その大きさは上下に約4.5万光年もなり、フェルミバブルを超える超巨大構造ということになります!
そして天の川銀河の円盤の直径が約10万光年なので、バブルの上下だけで円盤サイズに匹敵する大きさを持つことになります。
本当にとてつもないスケールです…
両者の起源は?
フェルミバブルやeROSITAバブルの起源はまだわかっていないことも多いですが、天の川銀河の銀河核にある質量が太陽の430万倍も重い超大質量ブラックホールいて座A*の活動がその起源であるという説が有力となっています。
今でこそ活動が穏やかな天の川銀河の銀河核ですが、昔は非常に活発であったと考えられるようになっています。
今から約350万年前、いて座A*に太陽の10万倍もの質量に相当する水素ガスが流れ込み、その反動でブラックホールは銀河の上下方向に向けて超高エネルギーのガスをジェットとして噴出したそうです。
そのエネルギーはなんと超新星爆発の10万倍にも相当するものだったそうです!
それだけ当時の天の川銀河中心部は活発であったことが、泡状構造の観測から推測できます。
Credit: NASA, ESA, G. Cecil (UNC, Chapel Hill)and J. DePasquale (STScI)
当時は地球から見た天の川銀河の中心部が現在の1億倍も明るかったとか…物凄く綺麗な夜空が見えていたのかもしれません。
情報参照元:https://www.sciencealert.com/there-are-colossal-x-ray-bubbles-expanding-above-and-below-the-milky-way
サムネイル画像クレジット:Jeremy Sanders, Hermann Brunner
and the eSASS team (MPE); Eugene Churazov,
Marat Gilfanov (on behalf of IKI)
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