はじめて立った日。
生まれてはじめてひとり立ちしたのは、人並みより遅い方だったらしい。
そのせいなのか、運動神経はどちらかというと切れていた方だった。
なにしろかけっこが遅い。鬼ごっこなんてすぐ捕まるし、
いつまでもアブラムシ(ルール適用除外者)だったし、
地域の運動会でもビリ、幼稚園の運動会でもビリ。
小学校に上がったら、ドッジボールでもすぐに当てられるし、
男女対抗花いちもんめではいちばん最初に指名を受け、
負けて女性チームに加わることになる。
自分は人気者だから最初に指名されるんだと思っていたが、
女子に聞いたら「宇宙太だったら力が弱いから勝てる」からだった。
はじめての勘違い。はじめての挫折。
かけっこが早いことこそ正義だった小学低学年。
そもそも負けん気というものがなかったので、
いや、たぶんもう負け続けていたので慣れっこになっていたんだろうけど、
「そのかわり勉強を頑張るんだ」という気概もなく、
ぽやん。と生きてきた。
同時に、えっちなことを見たりすると
あそこが「立つ」ことに気づいたのもこの頃だ。
仲の良い同級生に聞いてみると、彼もそうだといった。
ふたりで「なんでだろうね?」と人体の不思議について語り合った。
性への目覚めである。
それが人並みより早いか遅いかはわからない。
以上、はじめて立った日でした。
とはいえ、中学の時にテニス部に入って、なんとか運動神経はつながり始めた。
「どんくさい」から、「どちらかといえばどんくさい」へ昇格したが
やっぱりチームプレイでは足を引っ張ることの方が多かった。
それなのにダブルスで組んでくれたY武くんにはいまでも感謝している。
運動ができて、頭も良くて、正義感の強い人だった。
どこでなにをしてるんだろう。
外見は手足が細くまぁやせている方。
平均よりちょっと身長高めな見た目のおかげで、
まぁ、ぱっと見はどんくさそうには見えない(はず)が、
「運動神経悪い芸人」を見て笑う資格は私にはない。
笑ってるけど。
まぁ、そんなんで幼き頃からいろいろとコンプレックスを拗らせて生きてきた。