親友。
私は惚れっぽい。
自分でもわかってる。
女子高から女子大へと進み、
男性とは縁のない学生時代を過ごしたせいなのか、
社会人になって最初に就職した会社で恋をし、
転職をする度に(男が原因ではない)、社内恋愛をしてしまってた。
「身近にいる男性にときめき過ぎ」と
学生時代を共にした親友Sちゃんは笑う。
でもね、好きになってきたのは相手が先なんだ。
たとえば年下のFくんは、いかにも女慣れしてない雰囲気を漂わせ、
ちょっとおどおどした感じで私を見つめてきた。
交際することはなかったけれど、いつも私のことを気にしてた。
交際しなかった理由は、私に好きな人ができたから。
東京から地元に戻って、当時勤めていた会社へ転職してきたYさん。
彼には妻子がいた。
でも私のことを「かわいいかわいい」って褒めてくれてその気になった。
当然、長続きしなかった。
しかもその終わり方が悲惨だった。
その時は気づかなかったし、いまも真実は闇の中だけれど、
Sちゃんに取られたのだ。
彼女にYさんのことを相談してるうちに、
なぜか「私がYさんと直接話しする」ということになり、
いつの間にか、意気投合してた。
当時、SちゃんはSちゃんで遠距離恋愛中。
しかも、誰がどう見ても「都合のいい女」だったので、
Sちゃんも感覚がマヒしてたんだろう。
Yさんとの交際はどこで始まったのか、
そしてどのくらい続いたのか知らない。
むしろ、遠距離恋愛だった元彼が結婚したことを
偶然にも私が見つけたのだった。
あ、キッカケはそれだったか。
確かYさんから避けられたのはその時期だったな。
まぁ、「都合のいい女」を卒業させたのは
ある意味、私とYさんだったかも知れない。
Sちゃんはいまでも口を割ることなく、
当時からYさんと思われる新彼の名前は「X氏」で通してた。
私もSちゃんに問い質すようなことはしない。
そして、お互いの親が亡くなった時も事後報告で済ませたくらい、
いまでも上辺の「親友」を付かず離れず続けている。
結局、私は次に勤めた職場の先輩と結婚した。
子どもは望めない年齢ではあるが、幸せだ。
もちろん、結婚式にいまだ独身のSちゃんを招待した。
それがせめてもの復讐である。