放浪No.12 普通が普通ではなくなる

休憩中いつの間にか県を越えていたことに気づいた俺は、次なるインターネットカフェを目指して自転車をこぎ進める。
これまでの体験で普通という感覚から解き放たれていき、自分の経験が新たな普通を作り上げていく。
そんな感覚の切り替わりに疑問を持つわけでもなく、これから市街地を抜けて進む距離を考えながら「この距離なら3時間もあれば着くだろう」なんて思えるようになっていた。

かつて車や電車で来たことのある街並みを自転車で走るという何とも言えない感覚を出発した日にも感じていたな、と思い返しながら楽しんでいた。

少し蛇足になるが、市街地や繁華街にあるインターネットカフェは、値段が割高になってしまう。
併せて、イスとテーブルのみ、仕切られたブース、鍵付きの完全個室とタイプが分かれていて各々の価格帯があるのだが、市街地の場合は一番費用のかかる鍵付きの完全個室タイプしかない店舗もある。
そういった理由から、市街地から離れた価格帯が安く設備の充実したインターネットカフェを選び出して目的地としている。

話を戻して、市街地を抜けて目的地のインターネットカフェに着いたのだが、時間にかなりの余裕を持てていたので、気の向くままのんびりと良い頃合いまで周辺を散策してみる。

これまで意識していなかったが、県が変われば様々な景色も変わる。
今まで大手のスーパーやショッピングモールばかりで買い物をしていたので、ご当地であったり地域に根付いたお店を見るのが新鮮でたまらなかった。
自分の地域では見たことのない飲食店もフランチャイズとして展開していたり。
新たな情報を色々と収集したところで、地域展開しているスーパーに入ってお惣菜やお弁当の違いを楽しみながら買い物を終えて、インターネットカフェへと向かう。

そしてお決まりのルーティーンで過ごすのである。

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