見出し画像

放浪No.24 長い船旅

やがて出発時刻となり、定刻通りに出航する旨のアナウンスが流れる。
特にすることもなたっかので、飲み干したビールの缶を捨てて部屋に戻ることにする。
部屋でベッドに寝転がり、普段見ないテレビを垂れ流しながら、行ってみたい場所や経路を考えているうちに、眠りについていた。
家を飛び出して以来ベッドで寝てなかったのもあってか、船旅の8割ほどを睡眠に費やすことができた。

ふと目を覚ますと時刻は10時をまわっていた。
一服しながらコーヒーを飲んで寝ぼけた頭をゆっくりと切り替える。
一服を終え、コインロッカーに預けた荷物から着替えを取り出し浴場へと向かい、起き抜けのひと風呂を浴びるために浴場へ。
全身隈なくしっかりと洗い、眉毛、揉み上げ、ひげを整え、歯磨きも済ませ、いざ湯船へ。
海を眺めながら湯船につかるのは、とても新鮮で良い気分だった。

入浴を済ませ、まだ少し熱の残る体を冷ますために甲板へ出た。
見渡すかぎり海だった景色から、うっすらと徐々に陸地が姿を現してきたので、喫煙所で一服をした後に下船準備をするため部屋へと戻る。
荷物をまとめ終わり、いつでも動ける準備ができた頃に下船の準備と順番に関するアナウンスが流れたので、リュックを背負い部屋を後にした。

歩行者(車やバイクの同乗者)、バイクと自転車、車(運転者)と別れて並んで着港を待つ。
乗務員の案内に従い、列が動き出して各々が持ち場へと流れていく中、自分も駐輪スペースへと向かう。
船が港に着き、バイクや自転車を固定しているベルトを外す乗務員、誘導員にお礼を伝えて船から自転車とバイクが流れ出ていく中に混ざり、船を後にする。

広大な地に降り立った高揚を感じながら、短い間ではあるが話をしてくれた自転車乗りの方々と道中の安全を願い合いながら別れの挨拶をした。

待合室で準備をする方、港を抜け西へ向かう方、そして俺はそのまま北に向かう経路へ進みながらジェスチャーにて再度別れの挨拶をした。

北へ少し進んだところで激しい通り雨に遭ってしまったので、雨宿りのできそうな跨線橋の下にある空き地へと逃げ込む。
自転車で移動しているので前面はかなり濡れていたが、背面は(リュックを背負っていたのもあって)濡れておらず、その状況に一人で笑いながら雨がおさまるのを待った。

10分~20分ほど空を眺めていると雨足が弱まってきたので、軽く経路を確認しながら自転車に跨って北上していく。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?