放浪No.17 両極を併せ持つ街
あれから一夜明け、インターネットカフェから出た俺は、その足で公園へと向かう。
日中の公園で、出勤途中のサラリーマン、ジョギング等の運動をしている人、子供と散歩をしている人、観光に来ているだろう外国人と様々な人を眺めながら、ホームレスの人が来るのを待っていた。
近所のスーパーまでお弁当を買い、公園へ戻ってそれを食べる。
見たことはあるが話したことのない人をチラホラと見かける。
公園内にある派閥や、流れていく人もあってか、話したことのある人は皆無と言って良いほどだ。
やがて夕方になると、キャリーカートに段ボールを乗せたおじさんがやってきた。
この人とも以前に何度か話をした記憶があるので「お久しぶりです!」と声をかけさせてもらった。
最初は「誰だ?」と言わんばかりの顔でこちらを見ていたが、俺が待っているおじさんの話と、前に特徴のあるをやりとりや出来事を伝えると「ああ!あんときの!久しぶりだね!生きてたのかい!笑」と思い出してくれた。
俺が自転車でここまで来たこと、おじさんの旅回りや身近で起きたことなど、たわいもない話をしていた。
その中で俺が待っている人について聞いたところ、おじさんは少し表情をくもらせて「ああ、あいつはパクられたよ」と教えてくれた。
捕まった理由については書かないが、今は刑務所で生活をしているようだ。
残念ではあるが、刑期を終え出てきたときにまた会えるだろうと考え、それ以上の詮索はしなかった。
夕暮れにさしかかろうとする頃、キャリーカートのおじさんはバスに乗る時間が迫ってきたので、ここでお別れをすることになる。
別れ際に「海外に出てなきゃだいたいはここへ来るから、またな!」と声をかけてくれたので、俺も「生きて戻ってこれたら声かけるから、またお話ししましょうね!」と手を振った。
そして俺は自転車に跨り、次なる目的地へと向かう。
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