放浪No.27 繁華街を抜けリトライ
他店舗よりも料金設定が低い分、ゆっくりと寝ることができた。
ドリンクバーでカフェオレを注ぎ、その足で喫煙室に向かい一服をし、繁華街へ向かう段取りをぼんやりと考える。
スマホで軽く経路を見てからシャワーを浴びに行き、昼過ぎを目標に出発の準備を整える。
会計を済ませ、自転車に乗って国道を北上していく。
幅がたっぷりと取られている路側帯や通行可能な歩道をゆったりと走りながら、移り変わる景色を楽しんでいた。
1時間ほど進み橋を渡ったあたりから建物がそそり立ち始め、やがては都会の街並みへと変化を遂げていく。
ついに繁華街へと足を踏み入れたとき、人の流れが気になったので自転車を押し進めながら商店街を見て回った。
地元の方や観光客の方、大きなキャリーケースを持つ様々な海外の旅行者でごった返した商店街に圧倒されながら自転車を押し歩いた。
自分はどの分類になるのだろうか。
なんて無意味なことを考えながら商店街を抜け、自転車に飛び乗り繁華街を後にした。
繁華街を見て回ろうと考えていたが、勝手に場違いな気分になってしまったこともあって時間の配分に狂いが生じる。
コンビニの前でタバコを吸いながらナビを眺め、インターネットカフェを最終着地点として、道中に立ち寄れる場所を経路へと盛り込んでいく。
少し進んでは景色を眺め、少し進んでは、お店により、少し進んでは、ショッピングモールで休憩がてら売られているものを見る。
そんなことを繰り返しながらも、早い段階でインターネットカフェのある商業施設へと到着してしまった。
さて…どうするかな。
と、おもむろにGoogleマップで居酒屋というキーワードを検索してみた。
以前に立ち寄った居酒屋(放浪No.20参照)への恐怖心が無くなった訳じゃない。
でもフランチャイズ店舗やスーパーで買ったご飯を食べる気分でもなかった。
インターネットカフェに入ってブースに荷物を放り込み、近くにある居酒屋へと向かう。
少し身構えながら入店をする。
カウンターで仕事の話をする男性方、座敷には子供連れの家族が食事を楽しんでいて少し安心した。
カウンターの手前に座り、壁に貼られているメニューを眺めながらおしぼりで手を拭う。
ビールを頼み、一緒に運ばれてきたお通しを頂きながら飲む。
リハビリ状態ってこともあって様子見で焼き鳥を何品か頼んだのだが、出てくるのが遅い。
自分より後に家族連れが注文した物が先に運ばれる。
そして手元にあるジョッキはもう空だ。