柔道家の夫との馴れ初め
うちの夫は現在33歳だ。3年前に柔道の個人戦の現役を退いたが、今でも柔道とブラジリアン柔術のトレーニングに余念がない。
18歳から本格的に柔道を始めたので、柔道歴15年か。この真剣さをそばで見ているからか、彼の背中はいつもキラキラとかっこいい。鼻毛が出ててもかっこいい。ザ・男だ。
そもそも私は日本にいたころ特に柔道に関心が向いているわけではなかった。オリンピックに乗じてテレビで観戦するくらいだった。
そんな夫とフランスで語学交換のサイトで知り合い、彼が柔道をしてると聞いて、
そういえば、相田みつをさんの詩集か何かで柔道のこと書いてあったなーと思いだし、夫にその言葉を要約して伝えたら、
夫はその言葉に感動しまくって、そんな素敵な言葉を知ってる私に恋に落ちたらしい。
ななななんと、
私と夫の恋のキューピッドは、みつをだった。
それがこの詩だ。
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受け身
柔道の基本は受身
受身とは投げ飛ばされる練習
人の前で叩きつけられる練習
人の前でころぶ練習
人の前で負ける練習です。
つまり、人の前で失敗をしたり 恥をさらす練習です。
自分のカッコの悪さを多くの人の前で
ぶざまにさらけ出す練習
それが受身です。
柔道の基本では
カッコよく勝つことを教えない
素直にころぶことを教える
いさぎよく負けることを教える
長い人生には
カッコよく勝つことよりも
ぶざまに負けたり
だらしなく恥をさらすことのほうが はるかに多いからです。
だから柔道では 始めに負け方を教える
しかも、本腰を入れて 負けることを教える
その代り
ころんでもすぐ起き上がる 負けてもすぐ立ち直る
それが受身の極意
極意が身につけば達人だ
若者よ 失敗を気にするな
負けるときにはさらりと負けるがいい
口惜しいときには「こんちくしょう!!」
と、正直に叫ぶがいい 弁解なんか一切するな
泣きたいときには 思いきり泣くがいい
やせ我慢などすることはない
その代り
スカッーと泣いて ケロリと止めるんだ
早くから勝つことを覚えるな
負けることをうんと学べ 恥をさらすことにうまくなれ
そして下積みや下働きの 苦しみをたっぷり体験することだ
体験したものは身につく
身についたものー それはほんものだ
若者よ
頭と体のやわらかいうちに 受身をうんと習っておけ
受身さえ身につけておけば
何回失敗しても
すぐ立ち直ることができるから・・・・・・
そして
負け方や受身の ほんとうに身についた人間が
世の中の悲しみや苦しみに耐えて
ひと(他人)の胸の痛みを 心の底から理解できる
やさしい暖かい人間になれるんです。
そういう悲しみに耐えた 暖かいこころの人間のことを
観音さま、仏さま、と 呼ぶんです。
みつを
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素敵だー。みつをさん!!!!
ありがとうーーー!!!!
実際、私は特別柔道家に対して興味がなかったのに、今はすっかり夫のせいで柔道家びいきだ。
一生懸命取り組んでる姿勢が文句なしにカッコイイし、受け身や締め技の痛さを、なんともないように受け流してるのがすごすぎる。
暴漢に襲われた時も、一瞬で相手を押さえ込む。
すごいー!かっこよすぎるー!
一方で、フランスでは一般的に片方が柔道の先生のカップルは離婚率が高いらしい。
加えて日仏カップルも離婚率が高いそうだ。
ふむふむ。
ではうちらはかなりの確率で離婚の危機にある。。のかもしれない??!!!
うちの夫はよく財布を無くすし、自転車も盗まれるし、せっかくプレゼントした、マフラーや手袋も一瞬で紛失してしまう、柔道以外はぬけまくっているのだけれど、まあ仕方がない。
夫の夢は、死ぬ直前まで元気で柔道をやり続けることだって豪語してる。そうであって欲しい。
私も死ぬまで元気にお菓子や料理を作ることを生業にしていけたらいいなと思ってる。
お互いにいつまでも元気でいれたらいいなぁ。
つづく
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