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ワーホリ体験記その③・モテキ

2012年4月2日にパリに着き、ドミトリーに泊まりながら、
生活の基盤を作って行く。
1年間みっちりフランスで過ごせるように、仕事も見つけなきゃいけない。家と電話はとりあえずなんとかなった。
銀行口座も開設した。

ナタナエルさんの家を見学したあと、ドミトリーの家が偶然にも近場の徒歩30分くらいの場所にあったので、ナタナエルさんも用事があるからと一緒に途中まで送ってくれた。

彼は最近まで起業していたけど、現在は辞めて失業中らしい。
ナタナエルさんには、これからめちゃくちゃお世話になるのだが、あとで知ったことだけどすごくラッキーなタイミングだったようだ。
彼はのちに仕事を見つけてドイツに旅立ってしまう。

彼が発する言葉はわりとストイックでドキッとするけど、
中身はめちゃくちゃ親切でちょっと抜けてる性格がかわいかった。

この家を借りる条件として、
①仕事を見つけること
②フランス語で話すこと
③洗濯は週に一回。晴れた日は乾燥機を回さずに外に干すこと

と言われる。
理由を交えながらまじめに説明してれた。

私にとっては最高なシチュエーションだったので快諾だったが、
人によっては、息苦しく感じる人もいたみたいだ。


一緒に歩いていると、途中に一軒のお寿司屋さんがあった。

ナタナエルさんは、ここに仕事あるか聞いてみたら?ここは日本人が経営してるよ。と言った。
私は、日本人経営の所で働く気はなかったし、こんな履歴書も持ってないのに、飛び込むなんて無理でしょと思いつつも、とりあえずその店に入って話しかけた。

すると思った以上に親切に、バイト募集をしているお店を紹介してくれた。
わお。ちょっと動いただけで道が開けた。
驚いた。これもナタナエルさんのおかげだ。

ナタナエルさんは笑顔で外で待っていてくれた。

フランスでの目標はパティシエとして働くことだけど、それが決まるまでお金を稼ぐために日本食レストランで少し働いても良いしな。
選択肢が多いことは悪いことじゃない。


同時期に、
ネット上で言語交換のサイトを見つけた。

友達が欲しかったので、英語 フランス語 友達 と検索キーワードを入れてみたら、そのサイトが出てきた。

そのサイトは無料バージョンと有料バージョンがあり、
とりあえず無料バージョンに登録して、一言だけ載せてみた。

I want to learn English and French.

このたった一文で、結構な数のメールが届いた。
もちろん私の顔写真は登録してない。

たどたどしい日本語の文章や、
自分のことをオレと書いてあるキザっぽい文章、
英語だけの文章、
フランス語と日本語両方の文章・・
色々あり、差出人の顔はわからないけれど、
私はとりあえず、まともそうな文を書いてあるものだけに返信して、
トータル10人くらいに会ってみた。
結果、みんな優しい人ばかりだった。

その中の一人が私の夫なのだが、
彼は、彼なりの戦略があって、
すごい人気の人の文章をコピペして使っていたらしい。(笑)

今の夫とは5月の頭くらいに出会ったのだが、

その前に出会った何人かの人と仲良くなって、
初めてフランス人のごはん会に誘ってもらったり、
バーに連れて行ってもらったりした。

その中にイケメンのアイルランド人がいた。
うわー
アイリッシュかー!
こんなイケメンとまともに話したことないわーとドキドキしていたら、
何度もいろんな所に誘ってくれた。
あれ?気に入られてる?と内心めちゃくちゃ驚いていた。
そしたらある日、ガールフレンドになってほしいと言われた。

え?え?
ガールフレンドってどういう意味??!!!
キャーキャー心の中で叫んだ。

また、別のフランス人の家にディナーで誘われて、
てっきり他の友人も来るんだとばかり思っていたら、
私一人だったっていうパターンがあった。
大きいチーズケーキを焼いて行ったのに、私1人ですか・・
急に緊張してくる。

ご飯を作ってくれて、一緒に食べて、
なんかアルバムとか色々見せてもらって・・・
なんて過ごしていたら良い時間になったので、帰ろうかな。と言ってみる。
そしたら、もう遅いし、今夜泊まっていけば?ってかるーく言われた。

どっきーん

こんなにさらっと泊まっていけば?なんて言えるの、
やっぱり君はプレイボーイだな。
うん泊まっていく。なんて言ったら食われちゃうよね。
フランス人ってみんなこうなの?

ドキドキしながら、
いや、今日は・・帰る。と言って、帰ったけど。
心臓がドキドキしまくった。

さらには、
ピクニックで出会ったパティシエの男のこ(日本人)にごはんに誘われた。
誘われ方が、
星付きレストランを予約したんだけど、友人にキャンセルされちゃって、だれかほかに行ける人を探してます。一緒にどう?って感じだった。
しかも会うのも2回目だし、完全に友人として誘ったのは明白だった。
私は、星付きのレストランなんて、誘われなきゃ行ける機会はないーっと思い、ちょっと高いが行くことにした。

星付きなんだからと、その時持っていた一番オシャレなワンピースを着て頑張ってオシャレして行ったのに、
その友人の格好はぜんぜんオシャレじゃなかった。いや、いくら相手が私だからって、うちらが行くのは星付きだよ?!と心の中で呟く。ちょっとがっかりだ。

でも料理は素晴らしく、お店もサービスも素敵で、めちゃくちゃ幸せな時間を過ごせた。さすが星付き~。
感動しまくりだ。

食べ終わって、外に出て、バイバイーってしようとしたら、
ちょっと歩かない?って言われたので、
セーヌ川沿いをぶらぶら2人で歩く。
そしてベンチに腰掛ける。

うむむ。
何やってるんだろう・・・???
私の頭の中で?が回りだした。

その日から、彼からのメールが頻繁に来るようになった。
私のキメファッションで奴を落としてしまったらしい。

どうした。私。
モテキ到来か。


そんな中、今の夫と出会った。

彼と初めて会う日、彼は私をデパートの屋上に連れて行ってくれた。

屋上からパリを一望できる。
眺めてると、おもむろに肩を抱いてきたので、
うわっなんだこいつ。
嫌だなーと、第一印象は良くなかった。

彼の方も、私がどぎついピンクのジャンパーを着ていたから、
こんなファッションセンスの女は無いなと思ったらしい。

お互いが、無いなとそのときは思っていたのだ。

しかも、エスカレーターに乗った時に、
私のスカートが巻き込まれて、タイツを履いていたけれど、スカートがまくれあがって、めちゃくちゃ恥ずかしい思いもした。

それもあり、恥ずかしすぎたので、この人とはもう二度と会わないなと思っていたら、

彼の家でラクレットパーティーやるから来ない?友人も誘っていいよ!と誘いのメールが来た。
ラクレットに惹かれて、隣の部屋の子を連れて行くことにした。
恥ずかしい気持ちはラクレットに敢え無く沈没した。

ラクレットパーティーとは、
ラクレットチーズを専用のホットプレートで溶かして、茹でたジャガイモとハムの上にかけて食べる料理で、みんなでワイワイ食べるのが楽しい。

彼は山盛りのラクレットチーズを用意していて、
私はガトーショコラしか持ってきていないのに、こんなすごいおもてなしをしてくれるなんて、なんて太っ腹なんだろうと感動した。

彼は、なぜかそのラクレットパーティーで私を気に入ってくれたみたいで、
それから何回かデートに誘われて、そのうちに付き合うことになった。


初めてのフランスの地に降り立ったのが、4月2日。
そのわずか一か月半後には、フランス人の彼氏ができてしまった。

私はまったくモテルタイプじゃなかったし、フランスで彼氏を作る気もなかったので、
ただただこの怒涛の展開にびっくりした。

そしてパティシエの仕事も見つかり、
ようやく目的としていたパリ生活が本格的に始動し始めた。


つづく




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