うちの場合は。　⑥それ、２人とも無職。

親族全体を見渡して、なんとなく自分のルーツを掴めないか考えたことはないだろうか？

私はわりとよく考える。どうして自分がこんなんになっちゃったのか理解したくて、ていうか自分のせいにしたくなくていろいろと考えてしまう。うちの親族は全員性格も顔も体格もあっさりしていてひとまとめにきゅっとしやすい感じ。だがファミリー単位で見ると異質を放っているのは間違いなくうちだ。まず父が変なので、そこから形成されていったから仕方ないのだけど。

そして父から形成されたうちの家族は、女性２名の母と私は前回書いたような性格で、残る兄はこれまた変な奴で、ちゃんとした大学を出たにも関わらずちゃんとした（サラリーマンと呼べるような）職業に就いたことが今までない。フリーターという言葉は兄の為にある。妹の私は親戚の中ではわりと真面目な子で通っていて、部活動で全国大会に行ったことがあるなどのトピックで体育会系のキャラで定着しており、大企業と言われる会社で長く社会人をしていることでも知られていて、わりと兄とは対照的にちゃんとした人間として扱われてきた。しかし兄は家族の中で最もマイルドで人あたりの良い性格で、友達も多く、親戚や小難しい父とも上手くやっているただただいい奴というのが話をややこしくしている。

お正月に久しぶりに会った兄が、「から揚げ屋」を創業したいことと無職の彼女と結婚したいことを同時に家族の話題にぶち込んできた。ちなみに兄の手料理など家族は一回も食べたことはない。兄はがっつり会社に所属してがんがん働いたことがないせいか、どこか世間の世知辛い感じとか、いろんな人間がこの世にいるっていうことをぽや〜っとした感じでしか見ていないようなところがある。運の良さや要領の良さは昔からある人だったが、今回ばかりは本人の生活と家族の資金（親が援助だなんて言い出さないよう）がかかっているので「妹の私に迷惑がかからないレベルでやめてくれ（創業する前からつぶれる前提）」と伝えておき、ほぼこのから揚げ屋の話のせいで、薄くハゲてきた兄と結婚する無職の彼女への興味は薄れた。

ひとつ屋根の下で生活していると、妹は兄に音楽や漫画やお笑いや文化的ないろいろの影響を大きく受ける。お兄ちゃんみたいにはなりなくないとか言いながら、こんなことになってもどこかまだ憧れの対象なのは、死ぬまで兄と妹だから。お願いだから借金だけはしませんように。