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うちの場合は。 ③祖父とラグビー

ラグビーのW杯が日本で開催中だ。

テレビでラグビーの試合をぼんやり眺めていると、ゆったりと椅子に座った祖父の背中を思い出す。ラグビーが好きだった。プレーをしたことがあるのかは知らないが、観戦するのがとても好きな人だった。

祖父の家に隔週日曜にお茶をしに行くのが家族の習慣だった。おやつをみんなで食べた後が祖父のラグビータイムで、満腹になったあとのテレビ観戦だったから祖父は最初は真剣に観戦していても後半はよくウトウトとなっていた。耳が遠かったからテレビの音量はとても大きかったけれど。

まだ小さかった兄と私は、他のテレビ番組が見たくてそのウトウトを狙ってよくチャンネルを変えようとしていた。でも母や祖母にすぐバレた。

そんな時に、当時画期的な2つの番組を同時に見ることができるテレビに祖父が買い換えた。スイッチを押すと画面が2つに分かれて左はスポーツ、右はクイズ番組、なんてことができる。音声は確か左側のみに決まっていた。とにかく試合結果などをリアルタイムで知りたい人用だろうか。今考えるとせわしすぎる機能だ。で、やっぱりラグビーとバラエティを2画面で見るなんて情報量が多すぎるし世界観がバラバラで脳が混乱するので、すぐに誰もその機能を使わなくなった。今で言うスマホとテレビを2画面で追う感覚だろうか。そしてテレビもわりとすぐに2画面機能だけ壊れてしまっていた気がする。

祖父の影響か、従兄弟が早稲田のラグビー部に所属していた。祖父も早慶戦を見に行ったことがあるらしい。祖父の誕生日にラグビーシャツを親戚一同でプレゼントしたこともある。

生きていたら、とふと思った。こんなにラグビーが注目される時が来ると想像していただろうか。単純に観戦が好きだっただけで、のほほんとしていたから、特に望んでもなさそうだけど。それこそ日本戦は夜の試合が多いからウトウトしてしまったかもしれない。

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