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【大学生・大学院生向け】学生への経済的支援制度・給付型奨学金を活用しよう

大学院博士後期課程に在籍している内野と申します。私は、学部時代・修士時代・博士時代を通して、計3つの財団から給付型奨学金の受給経験があります。学部時代は学部3〜4年次の2年間、月3万円の奨学金を民間の財団から受給しておりました。修士時代も2年間、月3万円の奨学金を(学部のときとは別の)財団から受給しておりました。そして博士後期課程の現在、月6万円の奨学金を(学部・修士のときとは別の)財団から受給しております(3年間)。また、学部時代(1年次のみ)・修士時代・博士時代を通して、授業料免除をいただいてきております。
応募した奨学金に全て通ったというわけではなく、申請した授業料免除に全て通ったわけでもありません。そういった成功・失敗の背景も踏まえながら、今回は学生への経済的支援制度・給付型奨学金について書いてみたいと思います。

●学生への経済的支援制度一覧
⑴日本学生支援機構(JASSO)の奨学金
日本学生支援機構は、日本国内の学生を対象とした奨学金制度を提供しています。大学院生向けには、以下のような奨学金があります。
①第一種奨学金(無利子)
→経済的に困窮している学生に対して無利子で貸与される奨学金です。返還の際に利子が付かないため、学生にとっては負担が少なめです。また、第一種奨学金には「特に優れた業績による返還免除」という、奨学金の返還が免除される制度もあります。
②第二種奨学金(有利子)
→第一種奨学金よりも広範囲な学生に対して貸与される奨学金です。在学中は無利子ですが、卒業後に利子が発生します。

⑵「財団」「自治体」「企業」などの奨学金(給付型奨学金)
財団・自治体・企業なども独自の奨学金を提供しています。これらの奨学金は地域や企業の特性に応じた条件で提供されることも多いです。貸与型はもちろんですが、給付型も数多く存在しています。

民間の奨学金は、「学内選考型」と「一般選考型」の大きく二つに分かれます。「学内選考型」においては、ライバルは主に同じ大学の学生で、学内選考を勝ち上がってしまえば、そのまま採用に繋がることが多いです。一般選考型は、財団等に主に個人で申請するもので、ライバルは主に他大学の学生となります。
まず最初に、ご自身の大学のウェブサイトや学生課などで、どのような奨学金があるか、情報を収集することをオススメします。申請時期に関しては、年度はじめの4月頃に特に募集が集中している印象です(受給初年度の初回振込月は6月頃となる財団が多い印象です)。
日本学生支援機構の奨学金は多くの人が利用しており認知度も高いですが、民間の給付型奨学金は存在自体を知らない人も多いです。給付型だと返済の必要がないのはもちろんのこと、財団での会を通して様々な人と交流できる機会があったりと、嬉しい点もたくさんあります。

では、給付型奨学金に採用されるためにはどうしたらよいのでしょうか?条件は主に「所得水準」「自己PR・成績」の二つがあります。以下に分けて説明します。
①所得水準
財団・自治体・企業によりますが、所得制限を設けているところもあります。そこまで厳しい条件でないことが多いですが、世帯収入が一定の額を超えると応募できない(しても採用されない)場合があります。また、所得水準が低いと有利になる場合も多いです。
両親の収入が高くても、学生自身が独立生計者となれば自身の収入のみで所得が計算されるため、制限に引っかかることがほとんどなくなります。独立生計は大変ではありますが、授業料免除申請など併せて考えた場合、場合によっては得になることもあるので、世帯分離を一度検討してみてもよいかもしれません。
②自己PR・成績
自己PRや成績も重要です。大学のレベル(偏差値的な意味)が関わらないとは言い切れませんが、それ以外の側面も大きいです。私の場合は、学部3年次から受給していた奨学金については、サークルで代表を務めた経験や今後の留学計画などについて書き、奨学金を獲得しました。修士時代に受給していた奨学金については、「独立生計の旨」「学部時代に頑張ったこと(サークル・留学)」「今後の研究計画」などを書き、奨学金を獲得しました。

所得・自己PR・成績をできる限りのところまでもっていけば、あとは数多く応募するだけです。いくつも応募するとそれぞれのクオリティが低くなってしまうことも多いですが、そうならないように気をつけながら、いろんな財団へ応募してみることをオススメします。
私自身、給付型奨学金受給のおかげでできた研究や買えた本、出会えた人などがたくさんありました。これを読んだ皆さんが、給付型奨学金を勝ち取れることを祈っています。

⑶日本学術振興会特別研究員(DC1・DC2)
日本学術振興会特別研究員は、日本学術振興会が提供する博士後期課程学生向けの研究支援制度です。この制度の目的は、将来有望な若手研究者の育成と、研究環境の充実を図ることにあります。
対象は博士後期課程に在籍する学生で、月額20万円の研究奨励金に加え、研究費も支援されます。DC1は博士1年次から3年間の給付、DC2は博士2年次以降から最大2年間給付されます。申請時期は例年、受給を希望する年度の前年度の4〜5月頃となっており、結果は秋に分かります。

⑷科学技術振興機構(JST)
こちらも、⑶の学振同様、博士後期課程学生向けの研究支援制度となります。「次世代研究者挑戦的研究プログラム」などで、研究奨励金+研究費の支援を行なっております。

⑸TA・RA
支援というよりは労働収入寄りですが、大学院生は、大学内でTA(ティーチングアシスタント)やRA(リサーチアシスタント)として働くことができます。TAの仕事は、講義の補助や実習の指導、レポートの採点など多岐にわたります。RAは、教授や研究室が行っている研究に協力し、その対価として給与を受け取るものです。これにより、教育現場での経験を積んだり、実践的な研究スキルを身に付けると同時に、収入を得ることができます。

⑹授業料免除
大学によりけりですが、経済的に困窮している学生に対して、学費の減免措置を講じているところも多いです。国立大学の場合は、経済的理由や学業成績に基づいて、授業料の全額または一部が免除される制度があります。私立大学の場合は、各大学独自の奨学金制度や授業料減免制度が設けられている場合があります。
国立大学の場合、「①申請者の経済基準が基準ライン以下であること」「②申請者の成績が基準ライン以上であること」の2点を達成してさえいれば、高確率で採用されます。私は①②を満たしていたときは毎回採用されていましたが、②を満たせなかったときに採用が見送られました。

⑺住居支援
学生寮や補助金を通して、住居支援を行う大学もあります。特に都市部の大学では、家賃が高額になることが多いため、住居支援は重要ともいえます。

以上のとおり、日本の大学生・大学院生に対する経済的支援制度には、いくつかの選択肢があります。これらの制度をうまく活用できれば、経済的な不安を軽減し、研究や学業に集中することができると思います。制度を活用するためには、早めの情報収集と計画的な申請が重要です。現行の経済的支援制度が十分とは言い切れませんが、少しずつ拡充してきているのも事実です。これらの制度も考慮しながら、大学進学・大学院進学を是非検討してみてください。

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