
【交際不要時代】恋愛・結婚観の変遷と現代の新たな価値観
こんな人におすすめ
・交際経験がなく恋愛に不安を感じている人
・恋愛や結婚に消極的で悩んでいる人
・結婚前提の交際を重視しつつ、将来に迷いがある人
・恋愛を無駄だと感じ、効率重視の考えを持っている人
・結婚による経済的負担や自由の制約を避けたい人
ざっくり言うと・・・
✅ リクルートブライダル総研によると20代女性の間で「結婚を前提にした交際」が増加している
✅ 結婚を望まない理由としては、男性が「金銭的負担」、女性が「自由の制限」という理由が最も多い
✅ 欧米では、結婚という形式を取らずともパートナーシップや事実婚が一般的に選択される一方で、日本では依然として結婚という形式に社会的な重みがある
増加する「交際経験なし」の背景
出会いの減少とコロナ禍の影響
リクルートブライダル総研の調査によれば、20代男性の46%、20代女性の29.8%が「交際経験なし」と回答しており、この数字は2021年から急増しています。特に男性は12ポイントの上昇が見られ、過去最多となりました。この急増の背景として、新型コロナウイルスがもたらした生活環境の変化が大きな要因です。コロナ禍により、交流の場やイベントが激減し、恋愛関係を築くチャンスが物理的に制限されました。さらに、リモートワークやオンライン授業が普及したことで、リアルな接点が減少し、結果的に交際機会の希薄化が進んでいるのです。
また、社会全体の心理的側面も無視できません。若年層の中には、「恋愛で傷つきたくない」という慎重な姿勢が強まっており、失敗や対人関係のリスクを回避したいという意識が浸透しています。この心理的な傾向が、恋愛をあえて避ける動きにつながっているのです。
結婚を目的とした恋愛観の台頭
さらに、「恋愛は結婚のための手段である」という考え方が広がっています。若者の中には、結婚を見据えた恋愛以外には興味を持たず、カジュアルな交際を避ける人が増えているのです。恋愛が「結婚の準備段階」として捉えられることで、結婚を前提としない恋愛関係を選ばない傾向が強まっており、結果的に交際経験が少ない層が増加しています。
「結婚前提の交際」へのシフト
若者に広がる結婚前提の恋愛志向
20代の男女の間では、「結婚を前提にした交際」へのシフトが進んでいます。リクルートブライダル総研の調査によると、20代女性の44%が「結婚を意識する相手としか付き合わない」と回答しています。この結果は、若者たちが恋愛そのものを楽しむよりも、将来的な安定を見据えた戦略的な交際を求めていることを示しています。つまり、恋愛が「結婚に至るためのステップ」として位置づけられ、恋愛の軽やかさよりも、真剣さが求められる傾向が強まっているのです。
特に女性に顕著な「結婚相手以外は交際しない」傾向
この結婚前提の交際志向は、特に女性に顕著です。女性にとって、恋愛は単なる感情の遊び場ではなく、将来的なパートナーシップを築くための重要な手段と捉えられています。経済的安定や社会的地位を確保するために、結婚が必要なものと認識されることから、結婚の見込みがない相手との交際は避けられる傾向が強いのです。これにより、結婚を前提としない軽い交際は、特に女性の間で敬遠されるようになっています。
30代に広がる「恋愛の無駄論」
恋愛に対するタイパ・コスパ重視の思考
30代に入ると、恋愛に対する価値観がさらに効率化されます。調査結果では、「恋愛は時間とお金の無駄である」と考える30代女性の割合が9ポイントも急増していることがわかりました。現代社会においては、タイムパフォーマンス(タイパ)やコストパフォーマンス(コスパ)が重視され、恋愛もその例外ではありません。恋愛に投資する時間やお金が無駄に感じられる場合、恋愛に対して消極的になる傾向が広がっているのです。
特に30代女性で増加する「恋愛は無駄」との考え方
特に30代女性の間で「恋愛は無駄」とする意見が増えているのは、恋愛が自己成長や経済的安定に寄与しないと見なされるからです。恋愛を一種の投資と捉え、それが時間やお金に見合う成果をもたらさないと感じた場合、恋愛に対して冷めた見方をするようになります。この効率重視の傾向は、現代社会の価値観を反映しており、恋愛に費やすリソースを最小限に抑えることが賢明とされる風潮が強まっていることを示しています。
結婚を避ける未婚者の増加
結婚を望まない理由(男性:金銭的負担、女性:自由の制限)
調査によれば、20代から40代の未婚者の中で「結婚したくない」または「どちらとも言えない」と答える人が増加しています。男性の結婚を避ける理由としては「金銭的負担が大きくなるから」が第1位であり、女性は「行動や生き方が制限されるから」という理由が最も多く挙げられました。男性にとっては、結婚後の経済的負担が生活の質を損なうと懸念され、女性にとっては結婚による自由の制限がリスクと感じられています。これにより、結婚に対する期待値が低下し、独身生活を選ぶ傾向が強まっているのです。
日本独自の「結婚不要社会」の進展
欧米との違いに見る「結婚不要社会」の特徴
日本は「結婚不要社会」へと向かいつつありますが、その進行は欧米型とは異なる特徴を持っています。欧米では、結婚という形式を取らずともパートナーシップや事実婚が一般的に選択される一方で、日本では依然として結婚という形式に社会的な重みがあります。したがって、日本ではまだ「結婚不要社会」と言うには至らず、結婚せずに生きることが難しいと感じる人も多い状況です。日本独自の価値観が、欧米型の進展を遅らせていると言えるでしょう。
山田昌弘教授の分析による日本の結婚観の変遷
家族社会学の専門家である山田昌弘教授によれば、日本の結婚観は「結婚不可欠社会」から「結婚困難社会」、そして現在「結婚不要社会」へと変遷しています。かつて結婚は経済的・社会的な安定を象徴し、結婚しないことが不利とされていましたが、経済的負担や価値観の多様化により、結婚が必須ではなくなりました。現在では、結婚せずとも一人で豊かに生きる選択肢が広がりつつあり、「おひとりさま」や「ソロ活」という新しいライフスタイルが流行しています。
欧米型の結婚不要社会に比べ、日本はまだその進展が遅れていると言われていますが、結婚に依存しない生き方が浸透するにつれ、日本社会も変化の兆しを見せています。山田教授は、日本が欧米型の結婚観に近づくためには時間がかかるとしつつも、その方向性は明確に進んでいると指摘しています。