『クリード チャンプを継ぐ者』 ひたすら面白い映画に会いたくて 〜59本目〜
本作は、アポロの息子であるアドニスが、ロッキーにボクシングコーチを頼み、ライトヘビー級世界チャンピオンコンランとの対戦を経て、本当の意味で父の名前「クリード」を継ぐまでを描いた物語である。
そしてこの映画は、ロッキーシリーズのスピンオフとして製作された『クリード』の1作目であり、ロッキーシリーズとして含めるのならば、通算7作目にあたる作品だ。
59本目 : 『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)
『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)
脚本・監督 : ライアン・クーグラー
「 続編であって、続編にあらず。」
本作の魅力
物語の構成自体は、『ロッキー』の1作目とよく似ている。だが、本作はただの『ロッキー』映画の踏襲作品では終わらない。
『クリード』は、現在でも圧倒的存在感をもつ「過去の名作」を尊重しつつ、そこに新たなアレンジを加えることで、全く新しい「現代の物語」へと生まれ変わらせることに成功した非常に稀有な作品であるのだ。
だからこそ、ロッキーシリーズの続編という肩書きを抜きにしても、本作は抜群に面白いと言えるのである。
要するに本作は、ロッキーシリーズを観たことがないという人にも、声を大にしておすすめすることのできる本格ボクシング映画であるのだ。
劇中で流れる音楽も、ロッキーシリーズの音楽からの脱皮に見事成功し、しっかりとクリードのための音楽に変化していたのが素晴らしい。ロッキーには似合わなかった音楽が、クリードにはよく似合うのである。
ロッキーシリーズとは一味も二味も違う新鮮な音楽が観ている者を盛り上げてくれる。音楽の流し方が秀逸なのだ。サントラが欲しくなってしまう。それぐらいクリードの音楽は素晴らしかった。
私の1番好きな場面
私の1番好きな場面は、アドニスとロッキーが互いに戦うべき相手と戦うことを約束する場面である。
アドニスは世界チャンピオンのコンランと、そしてロッキーは自身の患った病気と、それぞれ戦う相手は違えど、最後まで戦い抜くことをお互いに誓い合うのだ。
この2人の関係性が絶妙に良い。
血は繋がっていないが、心はしっかりと繋がっている。彼らは、いつの間にか実の父、実の息子を超越したホームチームとなっていたのである。この場面には感動した。
特に2人で行うトレーニングには涙を誘われてしまったものだ。本作のトレーニングシーンは、泣ける。この場面を経ることで、シリーズ屈指の名コンビが誕生するのである。
アドニスとロッキーの関係は、どうしてもアポロとロッキーとの関係を想起させられる。無理もない。アドニスはアポロの息子なのだから。今後、アポロとロッキーの名コンビを超える日は来るのか。今後の展開に期待大である。
最後に
世界チャンピオンのベルトを賭けたコンランとの試合で、現役時代のアポロを彷彿させるかのようなパンツを履いてリングに上がったアドニス。
この演出にはやられてしまった。これほど観る者のテンションを盛り上げるのにもってこいの演出は他にないであろう。続編であることの利点を存分に活かした最高の演出である。
また、劇中でアドニスが試合をした対戦相手の全員に本物のプロボクサーを起用していることを知り、非常に驚いてしまった。
なるほど。これで本作のアドニスの試合シーンが、あんなにもダイナミックで、かつリアリティ溢れんばかりの迫力が目白押しであったことの謎が綺麗に解けた。
この観点から観ても本作は、他のボクシング映画とは一線を画していると言えるだろう。まさに最高のボクシング映画である。
ただのロッキーの続編映画だと侮ることなかれ。舐めてかかると、重いパンチを喰らわされるに違いない。
予告編&特別映像
↓映画『クリード チャンプを継ぐ男』の予告編です↓
(出典 : 【YouTube】ワーナーブラザーズ 公式チャンネル「映画『クリード チャンプを継ぐ男』予告編【HD】2015年12月23日公開」)
↓映画『クリード チャンプを継ぐ男』の特別映像です↓
(出典 : 【YouTube】ワーナーブラザーズ 公式チャンネル「映画『クリード チャンプを継ぐ男』特別映像 (Generations) 【HD】2015年12月23日公開」)