「ひたすら面白い映画に会いたくて」19本目『モダン・タイムス』
19本目:『モダン・タイムス』
『モダン・タイムス』(1936)
脚本・監督:チャールズ・チャップリン
「サイレントからトーキーへ:チャップリンの歌声」
冒頭の工場でチャップリンが働いているシーンやチャップリンが歯車に巻き込まれる有名なシーンを観ることができて、非常に感慨深い気持ちになった。世界史の資料集に載るほど価値のあるシーンを実際に体験することができたからだ。
単純な同じ作業を次から次へとこなしていく。ただただそれだけの作業を長時間ずっとやらされる。そりゃ、この映画の主人公のように精神的におかしくなってしまう人も出てくることだろう。「休憩時間になっても、自らの身体に作業の動作が染み付いてしまい、その動作がなかなか止まらない」というチャップリンの演技は、見事な皮肉だ。「労働者の気持ちを大げさに表現するとこうだよね」というチャップリンのメッセージを感じる素晴らしい風刺であったな。
この映画は、トーキー嫌いのチャップリンが初めてトーキーを取り入れた作品として有名である。本作でチャップリンは自身の映画に初めて声を入れたのだ。チャップリンの歌声は、当時の観客たちを大いに驚かせたことだろう。このように本作は、チャップリンのターニングポイントとなるぐらい重要な作品であったのだ。
チャップリンの作品は、本当に声を上げてゲラゲラ笑えるシーンが多くて、楽しい。物語も最終的には結構いい話だったなと鑑賞後に思うので、ただのドタバタコメディ映画ではないのだ。チャップリンの演技も面白いし、映像の早回しと場面に合った音楽を場面によって上手く使っているので、私たち観客を大いに楽しませてくれる。
私の1番笑った場面
全自動の食事マシーンをチャップリンが被験者1号として選ばれ、実際にそのマシーンを体験する場面である。特にとうもろこしを食べる場面なんて腹を抱えて笑ってしまった。何回繰り返されてもつい笑ってしまうのである。この辺りの笑いのセンスは本当に天才的だと思う。
私の1番好きな場面
そして私の1番好きな場面は、拘置所に入れられたチャップリンの食事の場面である。隣の席の人物が覚醒剤を所持しており、それを隠すために塩にその覚醒剤を混入させる。しかし、そうとは知らずにチャップリンはその塩を自らの料理にふんだんに振りかけて食べる。そしていつの間にかハイになってしまうのだ。
このハイになった時のチャップリンの顔が最高すぎた。何回もその顔をするのだけど、何回も笑ってしまう。あのシーンは今思い出しても、少し笑みがこぼれてしまう。それだけパンチのある場面であった。その後の完全にハイになったチャップリンが悪人をぶっ飛ばすシーンも痛快でずっと笑えるシーンの連続であった。ぜひまだ観てない人には観て欲しいおすすめの場面である。
最後に
今観てもこれだけ笑える映画を作ったチャップリンの才能がおそろしい。21世紀になってもなお、チャップリンを超える喜劇王はいまだ登場していないのだから。名作はどれだけ時間が流れようと名作なんだなと改めて思える作品であった。
もっとチャップリンの作品を観ていきたい。本作を観て素直にそう思った。彼のすべての作品を観ることを目標にしようと思う。次は、『街の灯』『ライムライト』あたりを観ることにしようかな。
予告編
↓映画『モダン・タイムス』の予告編です↓
(出典 : 【YouTube】Charlie Chaplin Official 「Charlie Chaplin - Modern Times (Trailer)」)