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『劇場版 おっさんずラブ LOVE or DEAD』 ひたすら面白い映画に会いたくて 〜90本目〜

 『おっさんずラブ』の見所といえば、吉田鋼太郎演じる黒澤部長の愛するはるたんへの猛アタック劇。しかし、この部長のはるたんへの燃えるような恋心は、ドラマ本編で儚くも散ってしまったはずだ。本作で、この黒澤部長の恋心をどう料理するのかと思っていたが、「くっそぉ〜、そう来たか!!」という展開が、観客を翻弄する。さすがは、『おっさんずラブ』のメインヒロインだ。完全に続編としての物語が待ち受けていたのである。劇場へパワーアップして帰ってきた『おっさんずラブ』は、アクセル全開で暴走を始める。『おっさんずラブ』を追い続けた全ての人に捧げるおすすめの1作である。

『劇場版 おっさんずラブ LOVE or DEAD』(2019)

脚本 : 徳尾浩司
監督 : 瑠東東一郎

      「パートナーの夢を応援するということ」

本作の魅力

 本作のテーマは、性別を問わず誰でも一度は悩むことになる「夢」と「家庭」の両立についてである。夢を追いかけて生きていくことは素晴らしい。しかし、パートナーがいる場合はどうなるのか。夢を追いかけて熱中するには、パートナーの理解が必要不可欠だと私は思っている。

 パートナーに夢があり、それに向かって毎日忙しく打ち込んでいる姿に嫉妬する。そんな春田の気持ちがものすごくわかる。自身にも夢があり、忙しい毎日を過ごしているのであれば、このような負の感情は訪れないであろう。だが、自分には夢がなく、仕事終わりにダラダラ過ごしているとどうか。パートナーだけが忙しいとなると、寂しい気持ちと嫉妬の感情が一気に押し寄せてくる。自分は一体何をしているのだ。本当に俺はこのままでいいのか、と。

 パートナーの理解があって初めて仕事に全力で打ち込める。そうでなければ、仕事を優先してしまい、パートナーを悲しませる結果を導いてしまう可能性がある。「忙しいから」。このような理由で、パートナーとの約束を全て片付けてしまう人にはなりたくないもの。夢は追いかけてもいいが、パートナーのことを蔑ろにしてはいけない。

 「言ってもどうせわかってくれない」。「言わなくてもアイツならわかってくれるはずだ」。このような態度を大切な人に対して取り続けていると、いつかすれ違いが起きてしまう。本作の牧と春田だってそうだ。相手に伝えるという作業を怠ると、自分の気持ちが相手に届かない。伝えなきゃ相手にわかってもらえないことの方が多いのである。本作で黒澤部長とジャスティスが語っていたように「もっと素直になって、伝えたいことがあるなら、面と向かって相手に対してぶつけることが大事」なのである。私も伝えられる時に、伝えたいことを大切な人に伝えていくよう心掛けていこう。

私の1番好きな場面

 男だらけの「ドキドキサウナ」は、本作で1番面白いシーンであった。この場面のお笑い爆発力がとんでもない。このシーンで笑いすぎて涙が出てしまう人続出である。笑いの上に笑いが容赦なく畳みかけてくる。もうこの現場の笑いは誰にも止められない。怒涛のお笑いラッシュでほんとにお腹が痛いシーンであった。劇場へ足を運んで鑑賞したのだが、この場面では周りのお客さんたちも一斉にゲラゲラ笑っていたことをよく覚えている。『おっさんずラブ』史上最高のラブバトルロワイヤルであったなあ。

 また、個人的には『ローマの休日』のオマージュもお気に入りのシーンだ。グレゴリー・ペッグがはるたんで、オードリー・ヘプバーンが部長とは、とんでもないオマージュであった。全然似ていないが、それを許せるのが吉田鋼太郎扮する黒澤部長である。そのことを強く感じたものだ。


最後に

 忙しい生活に振り回されることなく、自分の夢を成し遂げるために毎日充実した1日を生きていく。それだけで幸せではないか。社会人になってからも、仕事をする者としての「夢」を持つことの大切さを本作の牧と春田から学ばされた。

 『おっさんずラブ』に出会ってしまった全ての人たちに自信をもってお勧めできる。大スケールの『おっさんずラブ』であった。不動産会社を舞台にした企業ドラマとしても見応えがあったのも良かったなあ。

予告編

『劇場版 おっさんずラブ LOVE or DEAD』の予告編です。

(【YouTube】東宝MOVIEチャンネル 「『劇場版おっさんずラブ〜LOVE or DEAD〜』予告 【8月23日 (金) 公開】)

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