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『未知との遭遇 ファイナル・カット版』 ひたすら面白い映画に会いたくて 〜76本目〜

   大画面に大迫力で映し出される「マザーシップ」。この鮮やかな登場ぶりに、私は登場人物たちと同じように、この船を見上げてしまった。今見ても全く色褪せることのない本作の力に圧倒されたのだ。「スピルバーグの想像力は一体どうなってるんだ?」と。

   今年で最後の「午前十時の映画祭」。
その大事なオープニングを飾ったのが、本作だ。
さすが、スティーヴン・スピルバーグ監督作品。これほどオープニング作品として相応しい作品はないんじゃないかと思える納得のクオリティであった。

76本目 : 『未知との遭遇 ファイナル・カット版』(2002)

  『未知との遭遇 ファイナル・カット版』(2002)

      脚本・監督 : スティーヴン・スピルバーグ

    「映画館の大画面でマザーシップとの遭遇」

物語の概要

   本作は、人類と宇宙人が初めて「コンタクト」を取るまでを描いた物語である。

   なんとこの作品、「異文化との交流」というテーマを宇宙空間にまで拡大し、「異星人」との交流を描いているのだ。

   そして、本作では描き切れなかった人類と宇宙人との間で芽生える「友情」は、後に『E.T.』で描かれることになる。

   それにしてもスピルバーグ監督は、よくこんな話を思いついたものだ。その思いついた話を、これほどまでのクオリティで映像化できたという才能が、本当に素晴らしい。しかも70年代に…である。

   なぜ、今までこんなにも面白い作品を自分は観てこなかったのか。そう思わされるほど本作は、文句無しの名作であったのだ。

私の1番好きな場面

   ラコーム(フランソワ・トリュフォー)がリーダーの「異星人接触のためのプロジェクト集団」と「マザーシップ」が、5つの「音」だけで会話をするシーンである。

   なぜ5つの音だけが用いられるのか。それは、「人類」と「宇宙人」との間に共通していた音が、5つの音しかなかったから。ただそれだけの理由だ。

   初めはゆっくりと進行していくこの「音」による会話は、次第にスピードが増してくる。そして、この会話はいつしか、「音」ではなく、「音楽」へと変貌を遂げる。

   こうして交わされる「人類」と「宇宙人」との会話は、ユーモア溢れる本作屈指の名場面であろう。よくこんなシーンを思いついたものだ。音楽のようなこの会話には思わず笑みがこぼれてしまう。

   そして、「基本的な言葉の音を教えてくれる」、「(宇宙人による)最初の授業だ」。この辺りのプロジェクトメンバーのセリフが絶妙にいい。

   宇宙人に対して敵対意識を持っていないのが伝わってきて、非常に好感がもてるのだ。多くの人は、このシーンを見て思わず頬が緩んでしまうことだろう。

(出典 : 【YouTube】Movieclips Close Encounters of the Third Kind (6/8) Movie CLIP - Communicating with the Mothership (1977) HD)

最後に

   「UFO」の形態やスピード感。大画面に映し出される「マザーシップ」の迫力や美しさ。そして、「人類」と「宇宙人」との交流。

   本作以降の作品で、これらの影響を受けていない作品はおそらくないのではないか。

   この作品が後世に与えた影響は計り知れない。

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