『ハローキティのシンデレラ』 ひたすら面白い映画に会いたくて 〜85本目〜
「シンデレラ」のアニメーションは、何もディズニーだけのものではない。そのことを教えてくれた作品が本作である。残酷な描写は一切なくサンリオらしく可愛くアレンジされているのが素晴らしい。子供とも一緒に安心して観ることができる作品となっている。
『ハローキティのシンデレラ』 (1989)
脚本 : 金春智子 / 監督 : 小華和ためお
「サンリオ版シンデレラ」
物語の概要
母が亡くなり、その3年後に父が新しい母とその連れ子を迎え入れた。しかし、しばらくして父まで亡くなってしまい、シンデレラはその継母と義理の2人のお姉さんと一緒に暮らすことになってしまう。
継母と2人の姉から家事や雑用を押し付けられて散々な毎日を送っているシンデレラ。そんな彼女が、王子の結婚相手探しを目的に開かれた「お城の舞踏会」の日に魔法使いのおばあさんに出会って魔法をかけてもらい「お城の舞踏会」に参加する。
そこでシンデレラは王子と出会い、おまけに一目惚れされるというシンデレラの一発逆転ストーリーである。
本作の魅力
劇場版ということもあり、絵がとっても綺麗で完成度も高い作品であった。そして、キティちゃんの声が「林原めぐみさん」ではないことに驚く。キティ役を演じていたのは「小山茉美さん」であったのだ。
林原めぐみキティが可愛くてまだ幼い「キティちゃん」だとすると、小山茉美キティは、少し大人っぽさを感じさせる「キティお姉さん」であった。どちらのキティも素晴らしいことには変わりないのだけど。
継母や義理の姉たちに家事を全て押し付けられ、おまけに意地悪な仕打ちをされても、文句一つこぼさずポジティブに生きるシンデレラの姿がたくましい。
命じられた家事や雑用を嫌々こなすのではなく、それらを好きになって楽しむ。このシンデレラの仕事に取り組む姿勢は私も見習わないといけないなと感じた。
継母や姉たちからの嫌がらせに毎日耐えるだけでなく、前向きに過ごしていくシンデレラはなんて屈強な心の持ち主なんだ。
王子が運命の出会いに憧れているかなりのロマンチストとして描かれているのが面白い。またこの王子がキティの相手役のダニエルではなく、顔の整ったイケメンなネコであったのも見どころの一つであろう。
塩沢兼人さん演じる王子を見るだけでも十二分に価値がある。
1番印象に残った場面
シンデレラが午前0時を過ぎて、魔法が解ける前に急いで家に帰ろうとお城から逃げ去るシーンが1番印象に残っている。
このシンデレラがお城の階段を駆け下りるシーンは一度観たら忘れることなどできない。なんと、この階段が想像していたよりもずっと緩やかな階段であったのだ。これには不覚にも笑ってしまった。
こんなにも1段1段の間隔が広くて浅い階段を「シンデレラ」で観たのは初めてである。めちゃくちゃ安全性に配慮を施した階段づくりになっている。これなら転んでも大惨事にはならなさそう。
このサンリオアレンジには恐れ入ったなあ。シンデレラは、この階段でどのように靴を残していくのだろうとワクワクしたものだ。
おわりに
サンリオキャラクターたちは日本を代表するキャラクターの1つだ。彼らが演じる世界の童話を映像化したことの意義は大きい。ディズニーとはまた違った素晴らしい作品であった。
「ディズニー版シンデレラ」と見比べてみるのも面白いだろうなあ。コロナが落ち着いた際には、ぜひとも「サンリオピューロランド」へ訪れたいものである。