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『THE 有頂天ホテル』 ひたすら面白い映画に会いたくて 〜47本目〜
物語の舞台は、「ホテル・アバンティ」。大晦日の夜22時から年明けまでの2時間、そのホテルで繰り広げられる様々な人間模様を描いたコメディ作品である。
木村拓哉主演の映画『マスカレード・ホテル』を観る前に、ホテルを題材にした日本映画を観ておきたい。そう思ってから真っ先に思い浮かんだのが本作であった。
47本目 : 『THE 有頂天ホテル』 (2005)
『THE 有頂天ホテル』 (2005)
脚本・監督:三谷幸喜
「大晦日に観たい邦画No.1」
物語のあらすじ
大晦日の「ホテル・アバンティ」では、ホテルの威信がかかった年越しカウントダウンパーティーの準備で大忙し。
このホテルの宿泊部長かつ副支配人を務める新堂平吉(役所広司)は、パーティーの準備だけでなく、厄介な宿泊客の対応にも追われる羽目になり、四苦八苦する。そんな状況でも彼は1つ1つ冷静に臨機応変な対応をやってのけていた。
こうした忙しい最中、ホテルの廊下で新堂は、元奥さんにばったり出会ってしまう。そこから冷静でしっかり者の彼の様子が徐々に変わり果てていく。
さて、「ホテル・アバンティ」は無事に年越しカウントダウンパーティーを成功させることができるのか。
本作の魅力
本作は、三谷幸喜と個性派揃いの豪華俳優陣たちがお送りする最高のエンターテイメントショーである。三谷幸喜が上手く仕掛けた笑いの地雷を綺麗に演者が踏んでいく様を観ると、思わず元気が出てしまう。
観ているものは、三谷幸喜のつくったアトラクションにただちょこんと座って観ているだけでいいのだから。難しいことなど考えることなく楽しめる、それが本作の良い所であろう。
本作は、年末に観ておきたいおすすめ映画のかなり上位にランクインしているのではないか。年末からお正月にかけて家の中でゆっくりしている時に、何も考えずに笑って観るのに適した作品である。
三谷幸喜の作品は、1人で観るのではなく、誰かと一緒にゲラゲラと笑いながら観るのが理想だなあ。その方が絶対に楽しめるはずだ。出来れば、まだ観たことがないという人と一緒に鑑賞し、相手の反応を見たいものである。
私の1番好きな場面
私の1番好きな場面は、新堂が元妻に出会った際、「マン・オブ・ザ・イヤー」を受賞したという見栄を張った嘘をつき、自らをホテルマンだと彼女の前で頑なに隠し通そうと悪戦苦闘する場面である。
今まで真面目でしっかり者のホテルマンとして振舞ってきた新堂が、元妻に出会った途端、周りの人にも偉そうに振る舞う姿が面白すぎる。新堂と同じ副支配人である瀬尾(生瀬勝久)に対しても生意気なことを言う場面なんか特に面白かった。
新堂の鹿に関するスピーチもグダグダ過ぎて観ていて楽しい。役所広司は、本作のようなコメディの演技をやらしても、シリアスの演技をやらしてもピカイチだ。どんな役でも器用にこなす芸達者な人であるなあ。
役所広司が鹿の着ぐるみを頭に着けている姿は、想像以上に可愛い。この姿は、本作の見所の1つであると言ってよいだろう。
最後に
ホテルという題材を最大限に活かしきった作品であった。ホテルならではのハプニングの連続で、大いに楽しませてもらった。そして、同時に大晦日のホテルマンの忙しさを感じさせてくれる作品でもあったな。
久々に本作を見返したのだが、やはり文句なしに面白かった。三谷幸喜の作品を観ると、よくこんなストーリーを思い付くよなあと毎回思わされる。
佐藤浩市演じる武藤田勝利という国会議員は、昔観た時にはあまり注目していなかった。しかし、今改めて観ると当時には、理解しきれなかった彼の葛藤を少しはわかるようになっており、新鮮に本作を観ることが出来たのが良かった。
このように、昔観た時と今観た時の作品に対する捉え方は、変化していることが多い。だからこそ、もう一度鑑賞する時に備えて現在観た時の感想を残しておくことは、自身の変化を感じ取るために大切であると感じる。これからも変わらず感想を書き残していきたいものだ。