見出し画像

『ALWAYS 三丁目の夕日』 ひたすら面白い映画に会いたくて 〜1本目〜

   「ひたすら面白い映画に会いたくて」。このタイトルは私の尊敬する児玉清さんの作品『ひたすら面白い小説が読みたくて』にちなんで付けました。児玉清さんのように「ひたすら面白い作品に出会いたい」。そんな思いを抱いた私が、今まで出会ってきた「映画たち」を紹介していく。それがこの記事の内容です。映画のあらすじも少しは書きますが、基本的に感想を中心に書いていくつもりです。

 それでは、「ひたすら面白い映画に会いたくて」がまもなく上映開始です。読んでくれた人が、その映画にちょっとでも興味をもっていただけたならば、それほど嬉しいことはありません。どうか少しでも楽しんでもらえますように。では、上映スタートです。

1本目 :『ALWAYS三丁目の夕日』(2005)

      『ALWAYS三丁目の夕日』(2005)

       脚本 山崎貴・古沢良太 /  監督 山崎貴

   「総理も愛する戦後日本の風景たち」

 この映画を観ようと思ったきっかけは、「2007年8月21日にインドの首都デリーで安倍明恵夫人が読み上げたスピーチ」を谷口智彦さんの『安倍晋三の真実』という本で読んだからである。以下少し引用させてもらう。

「(前略)三丁目の人たちはなにかを信じていました。明日がきっともっと明るくなるのを信じ、互いを信じ、なにより自分たち自身を信じていました。(中略)この映画は、夫がとても好きな作品の一つです。素朴な子どもの頃のことを、夫はこれを見て思いだすようです。」

 この一節を読んだことで、「日本の総理大臣が海外でのスピーチの題材にも使うような映画をまだ観ていないというのはちょっと恥ずかしい」と大急ぎでTSUTAYAへ駆け込むことになった。

 物語の舞台は1950年代のまだ東京タワーも半分くらいしか完成していなかった頃の東京のとある3丁目。そしてこの映画は、そこに住んでいる鈴木家(堤真一、薬師丸ひろ子他)、駄菓子屋の店主である茶川(吉岡秀隆)、そして飲み屋のおかみであるヒロミ(小雪)を中心に進んでいく。

 物語の最初の方で鈴木社長が運転するオート三輪で狭い3丁目を走り回るシーンを観て、「これぞ古き良き時代の昭和の風景なのかな」とその当時を全く知らない平成生まれの自分だが、なんとなくそのように感じた。懐かしい気持ちというのは不思議なもので、私のような若者の胸の底にも眠っていたのだ。

 そしてこの映画の題名にもなっている「夕日」はいつ出てくるのだろうと途中から気になっていたのだが、その心配は杞憂に終わる。さすが、題名にもなっているだけある。主役級の登場を果たしてくれた。完成した東京タワーとの組み合わせとはなんてニクい演出なんだろうか。最後のシーンが好きな人はそりゃあ多いはずである。

 この映画で一番笑ったシーンは、堤真一演じる鈴木社長が六子(堀北真希)の発言に大激怒し、自分の家の玄関の戸口を突き破ったシーンである。このシーンには笑い転げた。CGの使い方が秀逸すぎて、まるでゴジラのようであった。こういう原作のマンガらしさを映画でも入れてくれるのは見ていて非常に楽しいものである。


 また堀北真希演じる六子ちゃんがひたすら可愛くてしょうがなかった。セリフがなまっているのも可愛いし、怒った時も可愛いし、もちろん笑顔も可愛すぎる。要するにずっと可愛いのである。その上可愛いだけでなく演技も上手だったし、個人的にこの映画のMVPかな。

おわりに

 いまとなっては1日の体感時間さえかなり短く感じるほど忙しい社会となった日本。人付き合いにおいても「あったかい国」というよりも「冷たい国」と表現するほうがしっくりくるような社会になったと感じる。だからこそ、たまには本作のようなあったかい人情物語を堪能しちゃってもいいんじゃないかな。3部作らしいので続きの2作も腰を落ち着けてゆっくりと観ていきたいと思う。

参考文献

 ・谷口智彦 (2018) 『安倍晋三の真実』悟空出版

いいなと思ったら応援しよう!