『ゴルゴ13 Golgo 13: The Professional』 ひたすら面白い映画に会いたくて 〜51本目〜
ライフルスコープの中にターゲットの姿が映る。そして次の瞬間、1つの弾丸が美しい軌道でその頭へと飛んでいく。これが、ゴルゴのスナイプ(仕事)だ。この芸術的なスナイプから始まる演出は素晴らしい。
51本目 : 『ゴルゴ13 Golgo 13 : The Professional』 (1983)
脚本 :長坂秀佳 / 監督 : 出崎統
「話を聞こう…」
物語のあらすじ
本作のゴルゴの敵は、かなり手強い。FBI、CIA、そしてペンタゴンの有力者が彼の敵に回るのである。彼らはゴルゴを殺すために手段を選ばない。捨て身の総力戦を仕掛けてくるのだ。こうした敵の攻撃に、ゴルゴは苦戦を強いられることになる。
本作の見所&注意点
このように本作の見所は、あの最強のゴルゴが追い込まれてしまう所だ。だがゴルゴは、冷静にたった一人でこの強敵たちに立ち向かっていく。
「one army」という名にふさわしい本作の「ゴルゴ13」の戦いっぷりは見逃せない。
ゴルゴの声は、思いの外しっくりとくる声で良かった。渋くてなかなか良い声をしているのだ。
ゴルゴ役を演じた瑳川哲郎。彼は、原作のゴルゴのイメージを損なうことなく演じることに成功していたと言えるだろう。ナイスな仕事ぶりである。よくゴルゴの特徴を掴んでいた。
概ね本作は、ストーリー的には「ゴルゴ13」の世界を存分に楽しむことが出来て良かったと思う。だが、全体的な作品の出来としては、可もなく不可もなくといった感じだ。そのように感じた理由は2つある。
一つは、1つの映画の中に、余計な物語まで詰め込んでしまったという印象がどうしても拭えないからだ。「ドクターZ」の物語は、蛇足だったのではないか。濡場のシーンを増やしたかっただけのように思えてしょうがない。
そしてもう一つは、血の量と濡場シーンの量が多いので、観る者を選ぶ作品であるからだ。本作ほど両者の量が多いアニメを私は他に観たことがない。原作好きもびっくりの量であるのだ。さすが「劇場版 ゴルゴ13」とでも言っておこうか。
私の1番好きな場面
私の1番好きな場面は、ゴルゴが依頼人と接触する場面である。具体的に言うと、ゴルゴが待ち合わせ場所にスッと現れ、依頼内容を直接聞きにくる場面だ。
この場面で初めてゴルゴの声が聞けるというのも好きなポイントである。ついにゴルゴが喋るという待ちに待った場面なのだ。お馴染みの依頼人とゴルゴのやり取りを観ることが出来るのも良い。
この場面は、「ゴルゴ13」の世界観の良さを凝縮してくれた最高の場面であった。
最後に
1年に1本のペースで「劇場版 ゴルゴ13」を現在のアニメーションの技術を駆使して、丁寧に映像化してもらいたい。今のアニメーションでどこまで原作のもつ「ゴルゴ13」の魅力を引き出すことが出来るのか。非常に興味がある。
原作のストックならば、驚くほどたくさんあるので、話のネタには困らない優良な「コンテンツ」であるはずだと思うのだが…。
いつか本作を遥かに超える最高の「劇場版 ゴルゴ13」が上映する日が来ることを期待しておこう。
本編プレビュー
↓映画『ゴルゴ13 Golgo 13: The Professional』の本編プレビューです↓
(出典 : 【YouTube】TMSアニメ55周年公式チャンネル「【本編プレビュー】ゴルゴ13|“THE PROFESSIONAL- GOLGO 13” (1983)」)