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ヨーダの物語 117

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星で修行し、ついにギークのいる稲妻の星ザンダーへ到着。ギークとの戦いの最中、ヨーダは修行のことを思いだす。


 「ちょっ、待ってください!」
 ヨーダはあわてて目隠しをしながら言ったが、グラドゥはおかまいなしにトレーニング・リモートを起動し、攻撃させた。
 「もちろんじゃが、フォースを使うんじゃないよ」
 ヨーダはビームの攻撃をよけ、弾くことはできたが、それを続けるしかなかった。ヨーダは弾き返しながら考えた。
 (このビームを消滅させるにはどうすればいいんだ?考えるんだ、考えるんだ!
 ・・ビームを弾いては消滅させられない。力に力で対抗してはダメだ。消滅させるには、もっと優しく扱わないといけないんじゃないか?弾くんじゃなくて、優しく受け止めたらどうだろう・・?)
 ヨーダはやり方を変え、ビームをなるべく光刃の先端に当て、ビームの進行方向に『引く』ことでその威力を吸収し、弾き返さないよう工夫した。
 最初は変な方向に弾き返してしまったビームも(グラドゥの顔スレスレに弾き返してしまい怒られた)、光刃の先端で優しく受け止めるよう努め、少しずつその勢いを弱めていき、光刃に吸収できるようになっていった。慣れてくるほどにビームの数も増えていったが、ヨーダはいったんコツを掴むとどんどん上達していき、光刃の先まで自分の身体感覚が行き渡るような状態になった。


 ギークは歩みを進めてくる。その距離はおよそ100メートル。もうすぐにヨーダのもとに着き、ふたたび光刃を交えることになる。ギークはさいごの勝負を仕掛けてくるだろう。
 ヨーダは二本のうち、緑のライトセーバーを起動させると、手を放し、フォースによって浮かせて50メートルほど先まで走らせ、そこの地面に光刃で長い横線を引いた。地面は赤く焼け焦げ、すぐに黒い線になった。
 緑の光刃は本体におさまり、高速でヨーダの手に戻った。
 「ギーク!頼むからその線を越えないでくれ!越えてしまったらおれたちは・・もう後もどりできなくなる・・!」
 ヨーダは再び目を閉じ、呼吸を整え、体力の回復に努めている。ギークはヨーダの決死の訴えを聞いても表情を変えずに歩いてくる。ついにヨーダの引いた線の前まで来たが、その歩みのリズムを全く変えることなく、線をまたいで歩きつづけた。ギークとの距離は約50メートルとなった。
 「ギーク・・」
 ヨーダは目を閉じながらそれを感じ、小声でつぶやいた。ギークはヨーダとの戦いを、そしてジャクーやコルサントを攻撃するのをやめるつもりはない、ということが動かしようのない事実として突きつけられた。
 ヨーダはついに本当の覚悟を決めた。もはやギークに説得の余地は無く、多くの命と自分の命を守るために、親友を倒すという覚悟を。

 (ヨーダの物語 118につづく)