ヨーダの物語 84
【前回までのあらすじ】
少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星へ到着し、修行が始まった!!
ヨーダは早く強くなって修行を終わらせ、ギークの元へ行きたかった。そして説得、もしくはそれが叶わなかったらギークを倒し(もちろん殺さずに)、ダークサイドからジェダイの道に戻そうと考えていた。そのためにもライトセーバーを使っての実践的な修行をしたいということをグラドゥに何度も伝えたが、答えはNOだった。
「あんたはいま完全にあせり、自分を見失っておる。強さのみを求めていては、本当の強さを手に入れることは不可能じゃ。それに強さへの渇望はダークサイドへと通ずる。あんたのあせりと強さへの渇望が消えたとわかるまでライトセーバーは使わせん。急がば回れ、千里の道も一歩からだよ」
グラドゥはそう言うと、家の横にあるガレージから二つの鉄の球を持ってきて地面に放り投げた。まだ使えるといいんじゃかのう、とつぶやきながら。
「なんですかこれは」
ヨーダは岩の地面に転がる二つの球を見つめた。それぞれヨーダの頭ほどの大きさがある。
「むかしシューマ博士が作ってくれた、パダワン修行用の道具じゃ」
グラドゥが指をクイっと曲げると片方の球が起動し浮いた。
「おお、まだ動くね!」
グラドゥは小さく歓声をあげ、もうひとつも起動させた。ヨーダの背より少し高く金属の球がふたつ浮いている。それらは太陽光を鈍く反射させ、久しぶりの動作を確認するようにその位置で回転しては戻るを繰り返した。いくつも筒状の突起があり、穴が何個も空いている。これと戦えとでも言うのだろうかとヨーダは思った。だとしたらもっと人型の強そうな奴がいいと思った。その瞬間、無防備なヨーダに小さい光線が当たった。それはチクリと針を刺されたような鋭い痛みのあとに、電流が走ったようにピリピリしびれた。
「痛ったあ!今これから何か出ました?」
「条件を課す。今回もフォースによって球から出るビームの動きは止めるな。かわすか、棒に当てて防ぐんじゃ。ただし、フォースを使ってビームの軌道を読むのは良しとする。あとはこれじゃ」
グラドゥはヨーダの後ろに回りこむと、懐から紐状の布を出して、フォースを使ってヨーダの大きな両耳を前に折って目をふさぎ、その上から布を被せて頭の後ろで結んだ。これでヨーダは目と耳を使えなくなった。
「ちょっ、これじゃあ見えませんよ!あ痛っ!」
ふたつの球はチュンチュンと、小さなビームを次々と出し、ヨーダを撃っていった。ヨーダは痛みとしびれで飛び上がりながらでたらめにかわして棒を振り回した。
「ちょっ、待ってください!これはダメ!せめて練習させてください!」
ヨーダはたまらず結んだ布をとってしまった。
「なんじゃい、こんなちっちゃいビームにビビってどうする?今のビームは最小の出力だよ。最大出力のほんの5%じゃ。先が思いやられるよ・・」
「ちょっと待っててください!水飲んできます!」
(ヨーダの物語 85に続く)