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ヨーダの物語 100
【前回までのあらすじ】
少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星へ到着し、フォースとは何かを学んでいく。そして修行は大詰めへ・・!
「ヨーダ」
それはギークの声だった。
振り返ったがそこにギークはいなかった。
「ヨーダ」
ふたたび声がした。この感覚は、グラドゥに直接心の中に話しかけられるものに近かった。
『ギーク・・』
ヨーダは心の声で言った。同時にフォースを使い、宇宙全体に心を解き放ち、ギークの居場所を突きとめようとしたが、途中で頭の中に霞がかかっているようになり特定できなかった。
『おまえの姿が手に取るように見えるぞ。おれのいる場所を特定しようとしているようだが無駄だ。こちらは気配を消すフォースの術を知っている。これもダークサイドの力だ。しかし、すぐに居場所はわかるようになる。いよいよ我々は動き出す』
『動き出すって、なにをする気だ・・?』
『レイゴウは全宇宙の支配を。おれは全宇宙で一番強いことを証明する。つまりジェダイを根絶やしにすることだ』
『それをなぜ今ぼくに言う?』
『おまえには知っておいてほしくてな。これから起こる惨劇を』
『ギーク、ぼくは必ずおまえに会いに行く』
『会ってどうする?また倒されにくるか?』
『ぼくはギークを・・』
『こちらは宇宙征服の準備で忙しいが、会いたければ来い。場所がわかればの話だが』
そこで心の声は無くなった。気がつけば夜が明けて周囲は明るくなっていた。QQ11とミルクボールは足元にいてヨーダを見上げていた。
玄関からグラドゥが出てきた。
「いよいよギークとやらも動くようだね」
「グラドゥ、ぼくはあいつのところに行かないといけません。でもあいつの居場所がわからない・・。全宇宙に心を解き放っても、ギークのいる場所を特定しようと思うと途端にわからなくなるのです・・」
ヨーダは歯を食いしばって言った。
「あわてるのは禁物だし、あきらめるのはまだ早い。まずは心を鎮めよ。浮き足だった心からは何も生まれない」
グラドゥはたしなめるように言った。ヨーダは深呼吸し、ギークを見つけられない心の焦りを無くすように努めた。
「逆転の発想で考えるんじゃ。霞がかかっているから探せないのではない。霞があるからこそ探せるのだと。やつはフォースを使い、自らの場所を特定できないようにしている。やつはおぬしになんと言っていた?」
ヨーダはギークとの会話を簡単に説明した。
「そこまでわかったらこっちのものじゃ。慌てることはない、まずは落ち着いて朝ごはんを作りなさい。腹が減っては何もできん。話はそれからじゃ」
ヨーダはグラドゥの言葉を信じ、朝ごはんを作り、時間をかけて食べた。食器を洗い終わると、再びグラドゥと、ギークの居場所についての話をした。
「ヨーダよ、ギークはすべてのジェダイを倒すと言っていたとな。では、ギークの心はいまどこに向かっておる?これからどこへ行こうとしているか?」
ヨーダはしばらく考えて、
「すべてのジェダイを倒すには、まずジェダイの総本山であるコルサントのジェダイテンプルに行く必要があります」
「よろしい。ギークの気持ちはいまジェダイテンプルに向いておる。ふたたび宇宙全体に心を解き放ち、やつの居場所の特定ではなく、まずはジェダイテンプルへ心を向けている者を一人ずつ丁寧にピックアップするのじゃ。できるか?」
「やってみます」
ヨーダはふたたび心を宇宙全体に解き放ちつつ、コルサントのジェダイテンプルに一点集中し、そこへ意識を向けている者たちの存在を感じ取った。目には見えないが、『フォースの目」で、そこへ向かって伸びる無数の細い糸のようなものを感じ取ることができた。
(ヨーダの物語 101へつづく)