ヨーダの物語 113
【前回までのあらすじ】
少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星でフォースとは何かを学び、ついにギークのいる稲妻の星ザンダーへ到着し、ギークと戦うこととなる!
ふたたび目まぐるしい攻防が展開された。ふたりの戦いの激しさに呼応するように、近くを稲妻がいくつも落ちてきた。
ヨーダはダブルブレイドであるためギークよりも光刃での攻撃の数は多くなり、ヨーダの方がスピードでもわずかに優っていたが、パワーではギークが上だった。
ヨーダがギークの胸元へ鋭い突きをし、ギークはよけることも光刃で防ぐことも間に合わず、(刺さる・・!)とヨーダが思った瞬間、ギークは左手で緑の光刃を受け止めた。ジジジ、という鈍い音がした。ヨーダは、かつてギークの家の前で、ジェダイマスターのガンヌとゾウセキがギークに殺されたのを目撃した時のことを、瞬時に思い出した。
ギークはゾウセキの光刃を手で受け止め、フォースによってそれを反射させ、相手の喉仏に突き刺したのだ。すぐにヨーダは光刃をおさめ、後ろに飛び退き、着地すると再び光刃を起動した。ほんの一瞬でも光刃をおさめるのが遅かったら、間違いなく自分の喉仏に風穴が開いていただろうと思った。
あの時、自分がもっと強くて、ガンヌとゾウセキを救うことができたなら、ギークが人殺しをすることにならなかったら、ギークを圧倒し、説得することができたなら、ギークが本当の意味でダークサイドに堕ちるのを防ぐことができたのではないか・・?後悔してもしょうがないが、ヨーダはそのことを思わざるを得なかった。
「そろそろ終わりにするぞ。おまえに構っている暇はない」
ギークは言うと、一気に走ってきてヨーダに赤い光刃を振るった。まともに受けたらこちらの光刃が両断されるので、ヨーダは連続攻撃をよけつづけ、ほとんど反撃には転じられず防戦一方になった。
よけることに集中しながらも、ヨーダは無意識にギークといっしょに受けたアカデミーの授業のことを思い出した。当時のヨーダが朝方、年老いたジェダイとして戦っている奇妙な夢を見たことでアカデミーに遅刻したときの授業だ。
老教授が言っていたことが、突然降りてきた。
「君たちが将来ジェダイとなり、もしシスの暗黒卿と対峙し、実力がほぼ互角だった場合、その勝敗を分けるのは、ほんの紙一重のフォースの差、あるいは剣術の差、もしくは運かもしれない」と。
(ヨーダの物語 114につづく)