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ヨーダの物語 82

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。そしてジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星へ到着し、修行が始まった!!
 


   *

 ヨーダはどんな大きさや形であっても、モノの重心をとらえることができるようになり、さらに5個以上のモノを同時に自在に動かせるようになっていた。
 スピーダーの残骸を森の外の一角に集めたあと、昼の弁当を食べていると、岩山の向こう側から、キャタピラで動く巨大な箱型の乗り物が、ゆっくりとやってきた。キャタピラの鉄どうしが擦れる音と、その重さで地面の石を砕く音があたりに響いた。
 「グラドゥ、あれは・・?」
 ヨーダは口に食べ物を入れたまま師匠にたずねた。
 「集めたスピーダーの残骸を回収しに来たようじゃ。えらくゆっくり進むから、あそこからここまで来るには時間がかかる。あれが到着する前に、森の中にまだ鉄くずが残ってないか、くまなく走って見てきなさい」
 「あれはサンドクローラーですね!ジャクーでも見たことがあります。この星にもいるんですね、ジャワたちが」
 「余計なことを言ってる暇があったら早う行ってこい!」
 「はいっ!」
 ヨーダはあわてて弁当を片付けて森の中へ走っていった。あれだけ苦労して探したからもう鉄くずは無いだろうと思いながら森の中を走り、大木に登り、木と木の間を飛びまわって、もしかしたらあるかもしれない鉄くずを探した。念のためフォースを使いながら探したが、やはり鉄くずは見当たらなかった。
 この数日間で森中を探して、フォースで鉄くずをすべて森の外へ運んだのだから当然だと思った。
 「やはり鉄くずや残骸はありませんでした」
 ヨーダはグラドゥの元に戻って報告した。
 「やはり、とな?」
 グラドゥは右手を森にかざした。サンドクローラーはゆっくりだが、すぐそこまで来ている。ヨーダは、グラドゥと森を交互に見た。残骸は無いに決まっている。しかし、残骸は森の奥からやってきた。スピーダーの先端部分で、大きさはヨーダの体くらいあった。
 「あんたより、あたしの方が『目』がいいようだね」
 ヨーダはぐうの音も出なかった。
 「ヨーダよ、あんたは森全体を隅々まで見ている気がするだけで、本当には見ていない。見ていると思い込んでいるだけじゃ。フォースを使って『探す』のではなく、森全体をスキャンするように見渡すのじゃ。ギャザリングで、洞窟の中でふたつのカイバークリスタルと出会ったろ?そのとき、こちらが石を見つけたのではなく、石がおぬしを見つけたという感覚はなかったか?」
 「・・ありました」
 ヨーダは、グラドゥに言われて、カイバークリスタルふたつが同時に自分の手に入ってきた時の感覚を思い出した。そうだ、あのやり方をすれば、探しに行かなくても残骸の場所がわかるはずだ!
 「鉄くずとあんたの間にあるフォースを感じとるんだよ。
 実はもうひとつ、森に小さな残骸がある。もう一度ためしてみい」

 (ヨーダの物語 83へつづく)