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ヨーダの物語 108

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星でフォースとは何かを学び、ついにギークのいる稲妻の星、ザンダーへ到着し、ギークとの戦いが始まった!


 岩山の口の中は闇だが雷が光り、一瞬中が見える。ギークのシルエットがわずかに確認できた。ギークは岩山の中からでて、ヨーダにゆっくりと近づいてくる。
 ヨーダはライトセーバーを腰におさめ、ギークに向かって歩いていった。ふたりの距離が30mほどになると、ヨーダは立ち止まって叫んだ。
 「ギーク!話し合おう!おまえのやったことは取り消すことはできないけど、できる限り罪を償って、いっしょに生きていこう!」
 『罪・・罪とはなんだ?』
 ギークのフォースの声が、ヨーダの心に響いた。ギークは右手を上に掲げると、激しい稲光がギークに向かって落ちてきた。それが当たる寸前、ギークは手を振り下ろし稲妻がヨーダに向かってとんできた。ヨーダはとっさにフォースのバリアを作り、稲妻を分散させた。
 「ギーク、おまえは何人もジェダイを殺している。だが遅くはない。一緒にコルサントへ行って、罪を償おう」
 「今は戦争の始まりだ。戦争においては、被害者の数が少なければご丁寧に名前まで明らかにし、数も明確に示される。だが数が増えれば増えるほど名前を追えなくなり数字に置き換わる。そしてその数字はひどく曖昧なものになる。『約何十万人』みたいにな。今はその始まりだ」
 ギークは今度は両手を天に掲げ、二本の稲妻が落ちてくると両手を振り下ろし、ヨーダに向かってきた。ヨーダは今度はフォースのバリアを作らず両手を前に突き出して稲妻が当たる前に両手を左右に広げると、稲妻は左右の彼方へ飛んでいった。
 「反撃しないのか?」
 ギークは顔の右半分を覆っている鉄仮面とは反対側の口角を上げた。
 「ギーク・・戦いたくはない」
 ヨーダは自分の気持ちを率直に親友に伝えた。少しの間があった。ふたりの周りでは雷が無数に落ちている。
 ギークは腰のライトセーバーを手に取ると、それを起動した。三本の細く赤い光刃が出てきて先端で頂点となった。そして超高速で回転し、一本の太い光刃のように見えた。回転により火花がちらちら舞っていた。(これが今のギークのライトセーバーか)とヨーダは思った。ギークとジェダイマスターふたりとの戦いを、遠くで見た時以来だった。

 (ヨーダの物語 109につづく)