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ヨーダの物語 102

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星でフォースとは何かを学び、ついにギークのいる星へ向かう・・!


 ハイパースペースの青、白、黒の色たちが目まぐるしく後方へ流れていくのを、ミルクボールは飽きることなく小さな窓から眺めていた。
 グラドゥのいる星でしか採れない『スパイス』は、あの森でしか採れない山菜のひとつと、あの森にしか住んでいないミルクボールの子供の骨を調合して作る、とグラドゥは言っていた。だいたい、スパイスというものはどんな使い方をされるのか、ヨーダには想像もできなかったが、とんでもない高値で金持ちの間で取引されるのだから、貴重なものなのだろう。いずれにせよ、スパイスを作るためにミルクボールの子供が殺されるのは到底許すことのできないことだった。グラドゥはずっとあの森とミルクボールを守ってきたのだ。しかしグラドゥはかなりの高齢で、正直いつまで生きられるかわからない。ギークをダークサイドから救うことができたら一緒にあの星に戻って、グラドゥとともにあの森とミルクボールを守ろうと心に決めた。
 そんなことを考えているうちに、宇宙船はハイパースペースを抜け、稲妻の星、ザンダー付近に到着した。ザンダーは想像よりも大きな星で、宇宙空間からでも稲妻の光が雲越しに無数に見えた。果たして雷の影響を受けずに無事に着陸することができるか、ヨーダは不安でいっぱいだった。
 ヨーダは目をつぶり、コルサントへ向かう意志の『糸』をフォースによって再び感じとった。ザンダーからは一本のみ糸が出ていて、前に感じたものよりもさらに太く、強固になっているようだった。そしてその糸の根元は前と同じように霞がかかっていて詳しい場所は特定できなかったが、間違いなくその辺りに、ギークがいる。
 これから多くのドロイド兵を連れてコルサントのジェダイテンプルに向かうと思われる。自分が全宇宙で最も強いことを証明するために。絶対にそれを阻止しなければならない、とヨーダは改めて思った。
 
 宇宙船はザンダーの大気圏に突入し、『糸』の根元に行こうとしたが、雷があまりに多いため(それは雲の上にも容赦なく向かってきた)、フォースを使い、雷の少ない場所を探り探り進み、なんとか雲を抜けることができた。しかし、雲の下は雷がもっと多く、油断はできなかった。初めて体験するだろう雷の音と光に、ミルクボールは副操縦席の上でうずくまって体と白い毛をブルブル振るわせていた。QQ11は興味津々のようで窓にかじりついていた。 
 雷の多い場所を避けるためにギークのいると思われる方向からはかなり離れて着地しなければならなかった。
 ヨーダは船から出た。雷はあるが雨は降っておらず、土も湿っていない。コンパスを用い、北の方を見ると、雲の隙間から少しだけ晴れ間が見えた。

 (ヨーダの物語 103へつづく)