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ヨーダの物語 116

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星で修行し、ついにギークのいる稲妻の星ザンダーへ到着。ギークとの戦いは佳境へ・・!


 ギークは、自身の眼や鉄仮面のセンサーに頼ることをやめ、フォースによってミルクボールとQQ11が隠れているところを見つけ、隠れている岩を破壊した。ヨーダには二匹が恐怖で震えているのが遠目に見えた。
 ヨーダはとっさに二匹をホバーボードごと、遥か彼方の見えないところまでフォースで飛ばした。ギークはそれを敢えて阻止しようとはしなかった。ヨーダは、ギークが次の一手で勝負を決めるという気迫、オーラのようなものを感じた。

 ヨーダは呼吸と心を整えるよう努めた。ギークがここに着くまでに策を考えなければならない。どうすればギークを(殺さないように)倒すことができる?その問いはあまりにアバウトで無謀なものだったので、ヨーダはその問いをもっと具体的に、かつ細分化しようと試みた。
 倒すのにもっとも有効なのは・・スピードはともかく、パワーはギークの方が上だ。ギーク自身のパワーを弱めるのは難しいだろう。しかし、あの赤い光刃の回転を止めてその破壊力を弱めるのはどうだ?ではその回転を止めるにはどうしたらいい?さっきもそうだったが、ギークと自分のフォースを操る力はほぼ互角なのでフォースで回転を止めることはできない。考えるんだ、考えるんだ。考えることをやめたらその時点で負けてしまう。最後の最後まであきらめちゃ駄目だ。

 ヨーダはふいに、グラドゥとの修行の日々を思い出した。何台もの金属の球(トレーニング・リモート)の、出力を殺傷能力のあるレベルまで上げられたビームをかわし、弾き返すという訓練の最期のときだった。
 「ヨーダよ、ビームを弾くのはだいぶ慣れてきたようだね。では今度は、ビームを弾き返さずに、ライトセーバーで吸収し消滅させることはできるか?」
 「消滅?どうやってです?」
 ヨーダはそれまでしていた目隠しをとって問うた。 
 「どうやればそれができるか、それを考えるのもあんたの仕事だよ。戦いの場では誰もアドバイスをくれない。考えることをやめてはいかん。思考停止は敗北への坂道を急降下することを意味する。どんな危機的な状況でも、考えつづけることこそが、形勢を逆転する唯一の方法じゃ。ではいくぞ、目隠しをせい」

 (ヨーダの物語 117へ続く)