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ヨーダの物語 27
船内ではしゃいでいたヨーダも昨晩の寝不足のため、肝心のワープの瞬間やカイバー・クリスタル採掘の星に着陸するときまで寝てしまい、ギークに起こされると寝たことを本当に後悔した。到着すると教授のガンヌとゾウセキが採掘場まで案内した。
「いいかみんな。この星は銀河の中でもっともカイバー・クリスタルが採れる場所のひとつだが、長い年月でジェダイはもとより、高価なカイバー・クリスタルを採掘しにさまざまな企業や盗賊が入り込み、ほとんどの石は無くなってしまった。しかし石は完全には無くなっていない。フォースを使えば必ず自分の色の、自分だけの石が見つかるはずだ。こればかりは探すのを手伝うことはできないし、教えることもできない。すべては君たちとカイバー・クリスタルの間にあるフォースにかかっている。幸運を祈る」
ヨーダたちの目の前には巨大な岩山と洞窟があった。この星は数百年単位で氷河期と温暖期を繰り返していて、ヨーダたちの訪れたときは氷河期から温暖期に移行して比較的あたたかい時期だった。
五人それぞれに小型ライトを手渡され、洞窟の中へと入っていった。
「私たちジェダイは中へは入らない。ジェダイ・マスターが入ると石が過剰に反応してしまうからね。君たち自身で探すことに意味があるんだ」
ガンヌがヨーダたち5人の背中に向かって言った。ゾウセキは相変わらず口をきかなかった。
五人は緊張しながら小型ライトを足元や壁に照らして前へ進んだ。さっそく一番体の大きいコウズが岩に頭をぶつけた。
「痛たっ!くそっ!ヨーダはいいな。ちっちゃいからまず頭をぶつけないだろ?」
コウズはいたずらっぽく言うと、ヨーダがコウズを無言で睨んだ。ギークが割りこんできて、
「集中しろ、すでにカイバー・クリスタル探しは始まってるんだ。おれは先輩からきいたぞ、この洞窟にはなにか恐ろしい怪物が棲んでるって。かつてはその生き物に喰われたイニシエイトもいるらしい・・」
と、声のトーンを落として囁いた。コウズは身震いして、
「おいおい怖がらせるなよ!教授はそんなこと言ってなかったじゃんか!命がけで石を探すなんて嫌だよ!ヨーダはきいたことないだろ?」
「・・おれも先輩のパダワンから、ここには石の守り神であり恐ろしい怪物がいるってきいたよ・・」
ヨーダは真剣な表情で応えた。
「マジかよ・・、勘弁してくれよ。ジャクーに帰りたいよ・・」
コウズはどんどん弱腰になっていってヨーダとギークから離れ、後ろのチャオとアマネの間に入った。
ヨーダはひそひそ声でギークを見上げて言った。
「さすがはギーク、名演技だね。おれも話を合わせたけど、怪物のことは作り話だろ?これでちょっとはコウズが静かになるな」
「いや、アカデミーの先輩は本当に怪物が出るって言ってたぜ。ゾウセキ教授のイニシエイト時代の同級生がひとり喰われたらしい」
ギークはまっすぐ前を見て応えた。
「本当だったの、かよ・・」
ヨーダの緊張度は一気に上がり、生唾を飲みこんだ。
(ヨーダの物語 28につづく)