ヨーダの物語 105
【前回までのあらすじ】
少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星でフォースとは何かを学び、ついにギークのいる稲妻の星、ザンダーへ到着し、戦いが始まる・・!
ヨーダは腰からライトセーバーをとり、ホバーボードから飛び上がった。ドロイド兵たちは一斉に空中のヨーダを見上げた。
「QQ11!!ホバーボードに乗ったまま安全な所で待ってろ!ぼくは走って行く!」
QQ11は主人を見上げるとコクっとうなずき、ドロイド兵の群れから離れて上空へ向かった。
ドロイド兵数十体はヨーダに向かって跳躍し、槍で攻撃してきた。空中のヨーダは落下しながらダブルブレイドを縦横無尽に振り回してドロイド兵たちを斬り、着地して岩山の方へ走りながら敵を斬りまくった。グラドゥのもとでの修行を頭で思い出すまでもなく、身体が本能のままに動いていた。
QQ11とミルクボールは、ホバーボードに乗って上空から主人の戦いを見ていた。それは、青と緑の混ざった球体が岩山に向かって移動しているようにしか見えなかった。周りにはドロイド兵たちの残骸が転がっていた。
ドロイド兵を斬りながら前に進んでいくとギークの声が頭の中で響いた。
『おれの知っているかつてのおまえの実力を遥かに超えているな。いい師匠に出会ったようだ・・。次は飛び道具で行くぞ』
ほとんどすべての槍のドロイド兵を倒して岩山を見ると、そこから二台の戦車のような巨大な鉄の塊がゆっくりと出てきた。まだ岩山との距離はかなりあった。
大砲でも撃ってくるつもりか、と思ったが、それぞれ八本ずつの筒からは、無数の楕円形の球体が斜め上の空に向かって発射された。
それらはヨーダの200mほど離れた所で地面に落ちる直前に浮き、人型に変形して背中からライフルブラスターを取り出し、一斉に構えた。その数は槍のドロイドと同じく数百体ほど。
ヨーダは息を整えながら歩き、次の戦闘に備えた。ライフルブラスターのドロイド兵たちは歩きながらヨーダに向けてビームを連射してきた。ヨーダはそれらをよけながらも光刃で弾き返し、ドロイド兵に当てて倒していった。これはグラドゥの金属球からのビームをかわし攻撃する修行が大いに役に立った。
次々とドロイド兵が倒れていくので、まるでヨーダが無数のブラスタービームを発射しているように見えた。
ドロイド兵の数が半分ほどになった頃、ドロイド兵たちの後ろから、ひとつの巨大な影が歩いてくるのが見えた。それは2mサイズのドロイド兵たちの優に三倍以上の体格をしていた。
巨体がドロイド兵十体ほどを押しのけるとその姿がはっきりと見えてきた。それはドロイド兵ではなかった。巨大なスキンヘッドに太い血管が走り、肌は青白く巨体に不釣り合いなほど目は小さく、充血していた。筋肉隆々で、特に肩と腕の肉がパンパンに膨れ上がり、その男の怪力を示唆していた。が、それは右肩のみで、左肩とそこから下の体はサイボーグになっており、特大のライフルブラスターを両手で構えていた。
(ヨーダの物語 106へつづく)