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ヨーダの物語 25

  ガンヌとゾウセキは驚きを隠せなかった。ふたりは顔を見合わせてぽかんとしていた。
 ヨーダはその話を両親から散々きいていたのでなにも感じなかった。ほかの人に話されても特に恥ずかしいとは思わなかった。
 しばらくの沈黙のあと、ガンヌが口を開いた。
「ヨーダ君の年齢に関しては一旦持ち帰らせてください。ヨーダ君、なにか質問はあるかな?」
 ヨーダは少し考えて、
「あの、ライトセーバーを見せてもらってもいい?ジェダイだから持ってるんでしょう?」
「ヨーダ、あまり調子に乗るんじゃあない!お二人はもう帰るんだ」
 ゴンがたしなめたが、ガンヌとゾウセキは予想外のお願いに吹き出してしまった。
「いいよ、手に持ちたいかい?」ガンヌは片膝をついてヨーダと目線の高さを合わせて言った。
 ヨーダはコクリとうなずくと、ガンヌは自身の腰に手をまわし、ライトセーバーをヨーダに差し出した。
「持ってもいいけど、このボタンには触らないでね。光刃がでたら大変だ。ご両親、渡しますよ」
 ゴンとロザリータは緊張の面持ちで無言でうなずいた。三人とも、ジェダイに会うことはもちろん、ライトセーバーを見るのも初めてだった。
 ヨーダは椅子から降り、小さい両手を差し出してライトセーバーを受け取った。ガンヌのライトセーバーは派手な装飾はなく、とてもシンプルな円筒のデザインだった。質実剛健、という言葉がぴったりの形状で、ガンヌのキャラクターをそのまま表したような佇まいだった。
 ヨーダは想像以上の重さに驚き、目を輝かせた。(これが教科書で見たライトセーバーか・・。ボタンを押して光の刃を見てみたいけど、さすがに父さんに怒られるな)
 赤い起動ボタンを触れないようにしながらひとしきり観察すると、ガンヌにそれを返した。
「アカデミーではいやというほどライトセーバーを見られるし、将来、アカデミーを卒業する前に自分で自分だけのライトセーバーを作れるんだよ」

 ふたりのジェダイマスターは玄関を出て船に乗り、コルサントへ帰っていった。
 ヨーダは家を出て、船が見えなくなるまでずっと見送った。そんなヨーダの後ろ姿を、ゴンとロザリータは少し寂しそうに見つめていた。

(ヨーダの物語 26へつづく)