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ヨーダの物語 121

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスター数名を殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星で修行し、ついにギークとの死闘の末、決着がつく・・。そしてレイゴウがやって来る!


 ギークのフォースと光刃が、レイゴウのフォースの手を断ち切ってくれたのだと思った。 
 ヨーダはなんとか立ち上がることができた。レイゴウの太くしわがれたフォースの声が響いた。
 『ギーク・・まだ生きていたとはな。おぬしのフォースの気配から死んだものと判断したが、それを偽装できるとは・・。わしはとんでもない弟子をもったものじゃ』
 ギークにもレイゴウの声が聞こえただろうが反応は無かった。ヨーダは、ギークの声を聞きたかったが目の前にある、自分を守ってくれた赤い光刃が、ギークの生きている何よりの証だった。
 『声も出せぬか・・まあよい。もうすぐわしはそこに着く。ふたりともわしが直接息の根を止めてやるわ。おぬしらが苦労して破壊した研究データだがな、この星を出る前にもちろんバックアップをとっておいたわ。わしは、自分以外の何者も信用してしていない。ヨーダが来ることはわかっていたし、万が一ギークが負けたらデータを破壊されると思ってな』
 ヨーダが空を見上げると、雷の光とは別のライトの光が雲の向こうから見えてきた。レイゴウがとうとうこの星に到着する。ヨーダは目を閉じ、深呼吸し、両手を空へ向けた。
 『おまえをこの星に来させてなるものか!』
 ヨーダがフォースの声で叫ぶと、レイゴウの船は、雲の上でガタガタ揺れだした。ヨーダは両手を組んで強く握りしめると、レイゴウの船に意識を集中した。フォースにより、雲の上の巨大な船の大きさや形や構造がはっきりとわかった。その中に、レイゴウが玉座に座っている。操縦は人型ドロイドがしているらしい。
 ヨーダは両の拳を震わせると、レイゴウの船の下部に亀裂が走った。
 『そうはさせぬぞ、小僧め!!』
 着陸前に船を壊されると悟ったレイゴウは、ヨーダのいる方向へ手をかざし、ヨーダのフォースを制止しようとした。
 その瞬間、両側から両腕を強く押し付けられ、腕どうしがくっついてめり込んだ。骨がきしむ音が響いた。
 『なっ何を!・・ギークか?!』
 レイゴウは飛び出さんばかりに眼をカッと開き、ヨロヨロと立ち上がった。今度は両腕がくっついたまま下がり、胴体にめり込んだ。
 船はメリメリと音を立てて真っ二つに裂けはじめた。ギークの赤いライトセーバーはまるでミサイルのようにレイゴウの方向へ一気に飛んだ。
 ヨーダは、フォースでダブルブレイドを起動して浮かせ、縦に高速回転させてあとを追うようにレイゴウへ飛ばした。

 『・・はっは!わしがいなくなったとて、わしの遺志を受け継ぐ者はこの銀河に存在する・・!わしの研究も引き継がれ、いずれ永遠の命も可能になるだろう。その時わしは復活し、その時こそ、銀河の真の支配が始まるのだ!
 闇は決して滅びぬ・・!光が強ければ強いほど、闇は濃く、深くなるのだぁ!!』
 断末魔の叫びがヨーダの頭に響きわたった。 
 ヨーダは必死の形相で固く結んだ両手をバッと離した。分厚い雲から出てきたレイゴウの正三角形の船は真っ二つに割れて、裂け目から火が出た。
 そこへギークとヨーダの光刃が飛んでいき、ギークの光刃がレイゴウの胸を貫通し、ヨーダの光刃が身体を縦に両断し、左右に倒れた。
 そして、視界一面の雲から無数の稲妻が一斉に出て、二つに割れた船に集まり爆発して大破した。残骸が燃えながらヨーダの周りに降ってきた。
 
 もうレイゴウのフォースの声は聞こえなかった。ヨーダは力尽き、地面に膝をつきそうになるのを必死でこらえ、なんとか立っていた。やがてダブルブレイドはヨーダの元に戻ってきた。ギークのライトセーバーは戻ってこない。
 医療キットとQQ11とミルクボールの乗ったホバーボードが来てくれて、ヨーダはそれに乗り、ギークのもとへ急いだ。

 (ヨーダの物語 122へつづく)