ヨーダの物語 99
【前回までのあらすじ】
少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星へ到着し、フォースとは何かを学んでいく。そして修行は大詰めへ・・!
「グラドゥ、ぼくは・・」
ヨーダは前に倒れ、そのまま気を失った。
黄色い光刃がおさまると、グラドゥの若い頃の姿も消え、浮いたライトセーバーは高速で森の方へ戻った。森の中にいるグラドゥの手におさまり、木の杖に装着して歩いた。
QQ11やミルクボールもあとをついて行き、森を出てヨーダが倒れているのを発見すると一目散に走った。QQ11はすぐにヨーダの生体スキャンをし、力尽きて気を失っているだけだとわかった。ミルクボールはそんなことは知らず、ヨーダの頭をペロペロとなめていた。
「心配するでない、死んじゃいないから」
グラドゥも到着し、うつぶせに倒れているヨーダの前で片膝をつき、右手を背中にあてた。少しするとヨーダはうっすら目を開け、意識を取り戻した。
「ぼくは・・」
なんとか起き上がりながらグラドゥと二匹を見まわす。
「しばらく眠らせてあげたかったけど、岩の地面でずっと眠らせるわけにもいかないからね。しかし、パダワンにもなっていない小僧がよくやったよ」
グラドゥはやさしく微笑んだ。
「・・でもさいごのあなたとは戦えなかったですし・・、大事なライトセーバーたちを壊してしまいました」
ヨーダは修行の最初の頃、傭兵たちを倒す訓練で森の木々を壊してしまったことも思い出して心を痛めた。
「いいんだよ。形あるものはみないつか損なわれる。ライトセーバーが壊れてしまっても、かつての弟子たちは今もあたしの中で生き続けている、あの時の姿のままね。
しかし、あんたも器用なことをするねえ。ライトセーバーは壊しても、カイバークリスタルはすべて無傷で済ますとはね」
グラドゥは、方々に散らばっているライトセーバーの残骸をフォースにより一瞬で集め、ヨーダの目の前に並べた。ライトセーバーたちは両断されているが、剥き出しになったカイバークリスタルは無傷だった。ヨーダは照れて顔を赤らめた。
グラドゥはライトセーバーの残骸を浮かせ、まとめてカゴに入れた。
「さあ帰ろう。たまにはあたしが夕飯作るよ」
「たまにはって、ここに来てから
一回しかごちそうになってませんが・・」
「そうだっけか、あっはっは!」
グラドゥとヨーダの笑い声があたりに響いた。QQ11とミルクボールは互いに顔を見合わせて首をかしげた。
グラドゥの作ってくれた夕飯をたらふく食べたあとヨーダはすぐに眠ったが、夜中になると目覚め、何かに導かれるように外に出た。
月明かりはもうすぐ満月で明るく、岩の地平線がよく見えた。
しばらく月をみてぼーっとし、玄関に向かうといきなり背後から声がした。
「ヨーダ」
それはギークの声だった。
(ヨーダの物語 100へつづく)