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ヨーダの物語 89

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星へ到着し、フォースの真髄を学んでゆく!


「フォースにとって時間と距離は意味を持たない。熟練したジェダイは、フォースを遠い昔や未来へも、はるか彼方の銀河系にも影響を及ぼすことができる。
 もちろん、フォースを一言で説明することはできない。そもそも言葉で説明できるものではないじゃろう。しかし解釈はできる。フォースについて考える者の数だけ、さまざまな解釈ができるが少なくともあたしの考えるフォースというものは、イマジネーションそのものじゃ。それ無くしてフォースは扱えん。
 もしあんたがこれから死の危険を迎えたとき、精神的に追い込まれたとき、絶望の淵に立ったとき、最後に残される希望は、想像力じゃ。それさえあれば、ぜったいに何らかの活路はひらける。
 最後まであきらめるな。フォースを、自分の想像力を信じよ。今のおぬしには時間を超えるフォースを扱うことはできないかもしれないが、辛抱強く、気をながく持て。いつかできるようになるじゃろう」

 その日の夜、ヨーダはなかなか眠ることができず、家の屋根に登った。空気は澄んでいて雲はなく、夜空はすき間の無いほど星々で埋まっていた。はるか彼方にある故郷のジャクーに意識を巡らし、そこに住む母のことを思った。ヨーダはフォースを使い、自分の住んでいた家に母がいることを感じとった。はっきりと頭の中にビジョンを浮かべることはできないが、ジャクーは、今は昼で、母は台所に立っていて昼ごはんを作っているらしい。ひとり分だから量は少ないようだ。早く帰って、母のロザリータを安心させたいという思いが強くなったが、あせってはダメだ、と自分を諌め、屋根を降りてベッドで眠った。

 翌日からはやっとライトセーバーを使うことをゆるされた。修行開始から何日が経つか覚えていないが(焦りが減ってくるとともに、日数を数えるのをやめてしまった)、自分のライトセーバーを使って訓練できるのはやはり嬉しかった。それまでの木の棒での訓練に慣れていたので、ひさびさにライトセーバーを持ったとき、その重さや重心の位置に違和感を覚えたが、すぐに以前の感覚を思い出すことができた。
 グラドゥもライトセーバーを使い、本格的な訓練ができるのではと期待したが、あっけなくそれは外れた。またもや四つの金属の球が出てきたのだ。それらは今まで使ってきたものよりひとまわり大きく、金属の光沢からも新品ということがわかった。ふたりは森の中へ入った。
 「グラドゥ、また同じ訓練をするのですか?」
 ヨーダはがっかりしたニュアンスを隠そうともしなかった。早く強くなりたいという焦りはほぼ消えたとはいえ、もっと実践的な訓練をしたかった。
 「ほうほう、がっかりしているようじゃのぅ。これらはシューマにお願いしてアップグレードされたものを作ってもらったんだよ」
 「アップグレード?」
 ヨーダは嫌な予感がしたが、もちろんそれは的中した。

 (ヨーダの物語 90に続く)