見出し画像

ヨーダの物語 107

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星でフォースとは何かを学び、ついにギークのいる稲妻の星、ザンダーへ到着し、ギークとの戦いが始まった!


 フォースの攻撃を受ける、という予感さえ無くヨーダは吹っ飛ばされた。これがギークの今の実力か・・とヨーダは改めて身をもって感じた。同時に、かつてギークが自身の家の前でジェダイマスターふたり(ガンヌとゾウセキ)を圧倒的強さで倒したのを目撃した時のことを思い出した。あの時も、ジェダイマスターふたりはギークに吹っ飛ばされ、その後命を落とすことになった。ヨーダは恐怖に飲み込まれそうになったが、その恐怖の塊のようなものを心の中で両手に持ち、心の中にある川に放り投げて流すことができた。完全に恐怖は消えたわけではないが、これはグラドゥから教わった、ダークサイドへの心の傾きを立て直すためのひとつの方法だった。
 ギークは巧みにヨーダの心の隙間に入り込み、ダークサイドへ誘導してきているとヨーダは感じた。ガンヌとゾウセキに食らわせたのと同じ攻撃をヨーダにもすることであの時の恐怖を思い出させ、心の隙間に入り込むという狙いだ。それを防ぐためには、心を閉ざすのが有効だと思いがちだが、それはリスクが高い。閉ざした心の扉をいったん壊されてしまうと、あとは相手に出入り自由にされてしまうだけだ。だとすれば、心の扉をあえて閉ざさずに開放しておき、いつでも柔軟に自分の心のあり方を変えられるようにしておけば、ダークサイドを受け流すことができるだろう。心の隙間に入り込まれ、捕まれ、引きずり堕ろされるのを避ける方法をグラドゥは教えてくれた。教えられたたけでは不充分で、それを実践できなければ意味はない。修行は今も続いているのだとヨーダは思い、グラドゥを近くに感じることができて心強く思った。 
 ヨーダはゆっくりと立ち上がると、岩山の大きな口の中を見据えた。

 (ヨーダの物語 108につづく)