ヨーダの物語 111
【前回までのあらすじ】
少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星でフォースとは何かを学び、ついにギークのいる稲妻の星、ザンダーへ到着し、ギークとの戦いが始まった!
「ギーク!いまのおまえをこの星から出すわけにはいかない!」
ヨーダは青と緑のダブルブレイドでギークに対して縦横無尽の攻撃をくわえた。ギークはヨーダの目まぐるしい攻撃を紙一重でかわし、あるいは赤い光刃で受け止め、攻撃を返した。
ヨーダは高速回転する三本の赤い光刃をまともに受けたら自分の光刃を斬り裂かれることを身をもって知っていたので、相手の攻撃をよけることに徹していた。
ほぼ互角のライトセーバーの攻防で、ふたりとも体力の限界近くまで光刃をふるった。お互いこのままでは相打ちになりかねないと判断したのか、ふたり同時に後ろに飛びのいた。再び二十メートルほどの間合いができた。ヨーダとギークは同じように肩で息をしていた。そんなふたりの様子を、ホバーボードから降りたQQ11とミルクボールが岩陰から見ていた。
ギークは片膝立ちになり、赤い光刃をおさめ、目をつぶって深呼吸をして息を整えた。
ヨーダも同時に同じことをおこなった。それはジェダイアカデミーで教わった、体力とフォースを操る集中力を回復させる、最も有効な手段だった。
自らの呼吸に集中し、心を解き放ち、まわりにあるフォースに耳を傾けた。ヨーダのまわりにあるフォースは、呼吸とともに体内に入りこみ、血流とともに全身に行きわたり、疲弊しきった筋肉を癒してくれた。
ふたりは同時に目を開けた。
「ギーク、もう一度考えなおしてくれ。おまえが人を殺せば殺すほど、姉さんは悲しむ。・・なあ、もう終わりにしよう」
「おまえには関係のないことだ。姉さんは死ぬ前にレイゴウから生体スキャンを施されている。もう少し研究が進めば、完璧な姉さんのクローンができ、姉さんは生き返る。そのためにはこの宇宙を支配し、莫大な金と優秀な研究者をかき集める必要がある。あと一歩でそれは完結する」
「クローンだと?仮に研究が成功して、どんな完璧なクローンを作ったとしてもそれはお前の姉さんじゃあない。たとえ生前の記憶が埋め込まれていて、姉さんみたいにしゃべっても、それはもう別の生き物だ。
なあ、お前もわかっているんだろう?おまえの姉さんが本当に生き返るなんてことはできないことが」
「おまえにおれの気持ちがわかるものか!おれとレイゴウはこの研究を成功させ、姉さんを生き返らせる。だれにも邪魔はさせない!」
ギークは今までにないほどの怒りの表情を見せ、左眼でヨーダを睨みつけた。両手を天に掲げてふたつの雷を落とし、手を振り下ろして再び稲妻の攻撃をしてきた。ヨーダはフォースのバリアを作った。黄色い稲妻は光を放ちながら消えていったが、べつの青い色の稲妻がやってきてフォースのバリアを破って入り、ヨーダはそれをまともに食らった。後方に吹っ飛び、大きな岩に当たって倒れた。体からは煙があがっている。
地面に顔をつけながらヨーダは考えた。(いま何が起きた?稲妻はバリアで防いだはずなのに、別の青い稲妻が入り込んできて・・。あれはギークが発した『フォース・ライトニング』か?シスの中でもごく限られた者しか使えないという、あれをギークが・・?)
(ヨーダの物語 112へつづく)