見出し画像

ヨーダの物語 122

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスター数名を殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星で修行し、ついにギークとの死闘の末、決着がつく・・!


 すぐにギークの姿が見えてきた。親友はさっき見たときのように仰向けになっていたが、すっと右腕を天にまっすぐ伸ばし、人差し指を立てた。ヨーダの全身に、悪い予感が走った。
 「ギークやめろ!!おまえは生きるんだ!いま助けてやる!」
 次の瞬間、巨大な稲妻がギークに落ち、ヨーダの目はくらんだ。
 「ギーク!!」
 ヨーダは叫び、ホバーボードから飛び降りて着地できずに転んだ。
 ギークは落雷にあたり、燃えていた。炎の光がヨーダの大きな瞳に映り、大粒の涙が溢れ出た。
 ヨーダは起き上がり、ギークのほうへヨロヨロと歩いていった。
 「ギーク・・」
 ヨーダは、息絶え、燃える親友の前で膝をつき、地面に頭をつけて泣いた。  
 「なんで・・なんでおまえは・・!」
 まわりの落雷はすっかり無くなり、遠雷の音だけがくぐもって聞こえるのみだった。
 
 *

 ちょうどその頃、ヨーダの師匠グラドゥは山菜を摘み、背中の籠に入れ、森を出たところだった。杖をついてゆっくり家路へ向かっていたが立ち止まり、ふいに顔を上げて空へ向かってつぶやいた。
 「ヨーダ・・終わったか・・」
 老婆は背中を丸くしてまた歩き出した。

 *

 ヨーダは宇宙船に乗り、エンジンを起動した。床ではQQ11とミルクボールがじゃれ合っている。ヨーダの座る操縦席の隣の台には、この星に来る前よりも膨らんだリュックが置かれて固定されている。
 ヨーダは操縦桿を倒し、船が浮き始めた。どんどん上昇し、ギークのいた要塞も見えてきた。それが内側から崩れていく様子を見てから雲を抜け、一気に成層圏へ。

 ザンダーの要塞のまわりには、レイゴウの乗っていた船の残骸が散らばっていた。その中から足を引きずりながら出てきたのは、レイゴウの執事ドロイドだった。ぎこちない歩き方でゆっくり進み、地面に落ちているギークの焼け焦げたライトセーバーを拾うと、ヨーダの船が雲の中に消えるのを見上げていた。

 宇宙空間に出ると、ヨーダはリュックにそっと手を置き、微笑んだ。そして別のレバーを引くと、ジャクーへ帰るためのハイパースペースへと入っていった。

 *

 ジャクーでは、QQ11から受信したメッセージをシューマ博士が見ていた。
 「ヨーダが帰ってくる!ギークは・・そうか・・」
 老博士は、外に出て無数の星がある空を見上げた。
 
 *
 
 ヨーダの船はジャクーに到着し、ロザリータのいる自宅の前に着陸した。
 時間は夕方で太陽は沈んだばかり。煙突からは煙が出ていて夕飯の匂いが漂っている。
 玄関から母が出てきた。宇宙船の扉が開き、ヨーダは駆け出してロザリータに抱きついた。親子のまわりを、QQ11とミルクボールが走り回っていた。

 (ヨーダの物語 123へつづく)