ヨーダの物語 118
【前回までのあらすじ】
少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星で修行し、ついにギークのいる稲妻の星ザンダーへ到着。ギークとの戦いの行方は・・!
ヨーダは地面に片膝をついた状態で左右に置いたライトセーバー二本を手に取り、柄を繋げてひねった。カチリ、と乾いた音がした。ほとんど無意識にそうしたが、再びダブルブレイドで戦うことに決めた。まだ光刃は起動していない。
50メートル先から、ギークの鉄仮面の視覚センサーは、ヨーダがダブルブレイドに戻したことを確認していた。そのことでギークはヨーダの戦い方が変わるだろうと一瞬警戒したが、自分のやることは同じだと、特に動揺することもなく歩みを進めた。
ヨーダは目を閉じたまま、起動していないダブルブレイドを両手で水平に持ち、片膝をついていた。呼吸はほとんど整いつつある。
ついにギークが2メートルの位置に到着しても、ヨーダは目を閉じたままだった。ギークはヨーダの目の前に立つと、右手に持っているライトセーバーを起動させた。
細い三本の光刃が、タイミングをずらしながら出て、先端で一つになった。高速回転をはじめ、太い一本の光刃に見えるようになった。
ギークはライトセーバーをゆっくりと頭上に振りかぶり、ピタっと止めた。
当然ヨーダには光刃の鈍い音と回転音は聞こえているはずだが、目を閉じていた。
ギークは渾身の力を込めて光刃を一気に振り下ろした。
ヨーダは目を開け、ライトセーバーの出力部をギークの光刃に向けながら起動すると、青い光刃は伸びながら三本の赤い光刃の隙間に刺さり、その回転を止めた。
同時にその光刃を振り、ギークの光刃を横にそらせながら緑の光刃を起動してギークの胸元を下から斜めに斬り上げた。
それは一瞬の出来事で、ヨーダも自分のしたことに当惑した。ほとんど無意識にその動きをおこなっていた。
斬られたギークは両膝をつき、前に倒れたのをヨーダが抱いて支えた。
「ギーク・・!」
ヨーダの光刃はギークの胸を斬り裂き、肺まで達していた。ギークの呼吸はヒューヒューと音を立てていた。ヨーダはギークをやさしく仰向けに寝かせた。
「・・ヨーダ・・、見事だ」
「ギーク・・なんでおまえは・・なんで・・」
ヨーダは嗚咽を上げながら声をもらした。
ギークは掠れた声で、
「おまえはいい師匠に出会えたようだな・・」
『ギーク、もうしゃべるな』
ヨーダは大きな瞳から涙をボロボロこぼしながらフォースの声で言った。
ギークの顔の左側を覆う鉄仮面は、頭を固定する鉄のベルトが仮面に収納され、静かに落ちた。
(ヨーダの物語 119へつづく)