子どもこそ「今いる場所がすべて」と思い込みやすいかもしれない(小説『かがみの孤城』から)
映画化されている「かがみの孤城」を原作で読みました。
ミステリー要素ありで、最後のページまで、
そーゆうことだったの!!
という仕掛けあり、そして涙。
久しぶりに物語の世界に没頭できました。
概要
主人公のこころは中学1年の入学早々、
クラスの中心にいる女子に嫌がらせをされ、
不登校に。
ある時、家の鏡が光り、
そこに引き込まれると別の世界が。
そこで出会う同じ不登校の子どもたちと、
「見つけたら願いが叶う鍵」を探します。
その中で、子どもたちとの絆も生まれ、
人間的に成長していく物語です。
今いる場所がすべてと思いやすい
何も悪いことはしていないのに、
嫌われて意地悪される主人公。
意地悪する子の理屈はあるのだけど、
曲がった見方、妬みなどが重なり、
話が通じない相手だということに
主人公こころは途中から気づいていきます。
大人になっても話が通じない人はいます。
ただ、高校や大学受験、会社選択など、
大人になるにつれて、自分の居場所を選ぶ機会が増えていきます(行きたいところに行けるかは別として)。
小学生、中学生くらいまでって、
受験とかしない限りは、
決まった場所で過ごすことが当たり前ですよね。
つまり、
生きる世界が決まっていて、
つらくなっても他がある、選べる、
という発想を持ちづらい
のかなと思います
(主人公のこころがまさにそう)。
辞める練習が足りていないからこその生きづらさ
以前読んだ野本響子さんの「日本人は辞める練習が足りていない」という本とこの小説がとてもリンクしました。
日本は途中で諦めないこと、
長くつづけること、
を重んじられる風潮があります。
野本さんが生活するマレーシアは、
辞めることのハードルが低いそうです。
合わなければ他に選択肢があるため、
そちらを「選ぶ」という考え。
部活なども3年間同じではなく、
毎年変えないといけない仕組み。
辞めることがダメなもの、逸れているもの、
だからこそ、
生きる世界が今いる場所しかない、
と思い苦しむ。
私自身、部活、バイト、職場もわりと長くいることが多かったので、辞める練習が足りていない一人です(コロコロ変わるのはどうだろうと思っていた一人)。
かがみの孤城を読んで、思春期特有の閉塞感みたいなものを思い出したのと同時に、
子育てする身としては、
いつかやってくる娘の思春期を思うと、
生きる世界はたくさんあるし、
選択できる。
合わなければ合うところを見つければ良い。
そんなスタンスで親としていたいな、
と感じた一冊でした。