ブルーベリーが潰瘍性大腸炎の予防や治療につながる?について調べてみた
Googleを検索しているとこんな記事が目に止まりました。
今回は東京理科大学が報告したこの論文について内容を詳しくみていきたいと思います。日本の研究者からこのような発表がされているのは頼もしいですね。
論文の内容まとめ
ブルーベリーに含まれるプテロスチルベン(PSB)はTh1やTh17等へのT細胞分化を阻害する
PSBは制御性T細胞を増殖させる
PSBは口腔投与によってマウスの大腸炎の症状を軽減した
潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患は自己免疫疾患です。自己免疫疾患は体内の免疫応答が過剰に働くことによって起きると言われており、樹状細胞やT細胞が免疫応答に重要な役割を果たします。
T細胞はリンパ球の一種で、血中リンパ球の60%~80%を占めます。UC患者の方であれば、LCAP(白血球除去療法)を経験された方も居るかも知れませんが、この治療法ではリンパ球も除去しています。
専門的になるので深くは触れませんが、T細胞はヘルパーT細胞に分化され、Th1、Th2、Th17などの異常な活性化が自己免疫疾患との関連性が言われています。ブルーベリーに含まれるPSBはTh1とTh17への分化を抑え、攻撃のブレーキ役である制御性T細胞を増殖させたとのことです。
さらにこれもUC患者ならおなじみのサイトカイン、TNF-αの発現もPSBは抑制するとの事です。
プテロスチルベンについて
プテロスチルベン(PSB)とは?
アーモンドやブルーベリー、赤ワインやブドウなどにも含まれるPSBはポリフェノールの一種で、経口吸収性が高く生物学的利用能が80%と高い事が知られています。つまり、口から摂取でき、身体の中に多く留まるということですね。
さらに、以下のサイトではプテロスチルベンの効果として、炎症性腸疾患以外にも、抗癌作用、脂質代謝・糖代謝、認知機能向上、抗カンジダ菌に関するものも紹介されています。
プテロスチルベンを多く含む食品は?
プテロスチルベンはブルーベリーに多く含まれていますが、このサイトによれば、ブルーベリー一個あたり99ng~520ngとのことです。これは1パック全部を食べても、精々0.03~0.18mg程度のプテロスチルベン摂取量に過ぎない計算になります。論文などで使用された分量(今回紹介した論文では有りません)は100mg/日程度を摂取していたとのことなので、ブルーベリーだけで摂取するのは現実的では有りません。
もっとも、摂取量と効果について体系的な報告をした研究もまだ無いようですので、大量摂取が良いとかそういう訳でもないとは思いますが。
プテロスチルベンの過剰摂取による副作用は?
前提としてプテロスチルベンの過剰摂取の副作用についてはまだ不明なものが多いとのことです。ただ、この論文ではプテロスチルベンは毒性も副作用も少ないと記載されていますし、見る限りはリスクは低そうです。また、先ほど紹介したサイトでは250mg/日までの用量では副作用は報告されていないとのことです。
もちろん、250mgまでは問題ないと考えて、ブルーベリーを大量摂取するような事になれば、カロリーや糖分過多になるでしょうし、あくまでも適切な分量に抑えておくのが良いでしょう。
プテロスチルベンのサプリメントは?
食品での効率的な摂取が難しいとなると、すぐ考えるのがサプリです。このAmazonのサプリなどは250mgのプテロスチルベンを含有しているようですが、中々お高いですね。どちらかというとNMNが含まれているため高いような気もしますが、、(iHerbでは色々なオプションが安価であるようです)
まとめ
ブルーベリーなどに多く含まれるポリフェノールの一種、プテロスチルベンはT細胞分化を阻害し、制御性T細胞を増殖させる報告がされた
プテロスチルベンは潰瘍性大腸炎以外にもその効果が注目されている物質である
副作用の可能性は低いようだが、まだまだ不明な部分が多い
今回の研究結果を受け、筆者としては朝食のヨーグルトにブルーベリーを追加してみようかなと思いました。