恐れの感情にすべてが飲み込まれてしまわないように
私の住んでいる地域でも、朝晩の寒さが少しずつ身に染みるようになって来ました。
日本列島の中には、すでに雪に見舞われている場所もあるようですね。
どんどんと季節が進んでいきます。
なんというか、社会がせっかく自由に動ける状況になってきているので、あんまりネガティブなことは書きたくなくて筆が止まっていました。
いったい、何をどう言葉にしたらいいんだろうな、という感じ。
以前、Momoyoさんも仰っていましたが、この2年近くにわたる異次元の状況によって、人々の心は表に見えている以上にダメージを受けているのだと思います。
どうしてだか他人を傷つけてしまうという事件などは、如実にそのような現実が氷山の一角として表れてきているということだとも言えます。
他人を傷つけてしまうという行為 ― もちろん、人としてその行為を認めることはありません。
ただ、他人を傷つけてしまった加害者を、周囲が攻撃したり社会的に罰すれば済むかというと、そんな風に表層で解決できるような単純な話ではないと思っています。
まずは、被害者が保護され、被害者の周囲も含めて十分に癒されますように、と願わずにはいられません。
でもなぜだか私の心はいつも、加害者側の心の状況のほうにも関心を寄せてしまわずにはいられないのです。
今回は、とても大きな話題を取り上げてみます。
少し前にTwitterで話題になったそうなので、ご存じの方も多いかと思いますが、今ウイグルで何が起こっているかを漫画形式で描き起こした本を手に取りました。
ここnoteでも、著者の清水ともみさんにより全てが閲覧できるようですね。
↓下記がリンクになります。
https://note.com/tomomishimizu/n/nfd4c33d0fcdf
『私の身に起きたこと ‐ とあるウイグル人女性の証言』
新疆ウイグル自治区、訪問したことがあります。
中心から少し外れたウイグル人の村、カラフルだけれど素朴な民族帽を被った人々が暮らしていました。
とてものどかな雰囲気で、私は心躍らせながら散策していたのを覚えています。
この本の内容の、あまりの胸クソ悪さに私は吐き気がし、そしてその感情をどこかに追いやりたい気持ちにさえなりました。
そして、ずっと以前にポーランドのアウシュビッツをはじめ、たくさんの戦争博物館や捕虜収容所跡などを訪れたときの気持ちを思い出しました。
アウシュビッツに行ったのは、20年ほど前だったでしょうか。
とんでもない規模で、とんでもないことが、公然と、むしろ推奨されて行われていたことに凄まじいショックを受けました。
人間を大量に効率的に“殺す”ことが、同じ人間の仕事として成立するという、背筋が凍りつくような世界。
様々な流れの中で、そんな世界を造れてしまう人間というモノの業。
これが現実なのかな、諦めるしかないのかな、せいぜいこのような世界がもう二度と現れないように祈るしかないのかな、という想いを募らせるのがせいぜいでした。
そして、今。
残念ながら、世界のどこかではやはり人間の業が雄叫びを上げながら肥大化しているのを感じます。
ただ、私の感覚は、加害者側の嵌っている底なし沼にも向いています。
現場での悪行に従事している人々も、命令を下している人々も、一様に安息の未来など見えてはいない。
恐れしか、そこにはない。
顕在意識で知覚できるかどうかは別にして。
恐れから、行動する。
むしろ進んで、攻撃する。
恐れから逃げようとして、さらに苛酷な行為をひねり出す。
でも、その連鎖はさらにそんな人々を恐れの沼に引きずり込んでいく。
そっちじゃないよ、と伝えることが出来たらと思う。
残念ながら、個人でできることは限りなく小さい。
出来ることのほんの小さな一つは、祈ること。
少しでも、その見当違いな恐れが小さくなりますように。
少しでも、その恐れの在り方に疑問を抱きますように。
そこまでの恐れを抱かなくても、人間として生きて行けると知覚できますように。
そして、私が自分自身の恐れを見つめながら、生活すること。
恐れをなくすことは出来ないし、そんな必要もないけれど、無自覚に振り回されないように。
そうしていれば、自分の周りの人も自然と恐れを小さくすることが出来るのではないかしら。
その輪が少しずつでも、広がるといいな。
とっても世界的な大問題から、とっても身近ないざこざまで、人間をネガティブな方向へ振り回すこの恐れという感情。
向き合うのはしんどいけれど、ちょっとずつでも。
見ないフリしてやり過ごしても、存在するものは存在する。
本体を見続ける努力をする方が、結局お得ですよ。
…なんて、今回も独り言です。
≪冒頭イラスト≫
清水ともみさんご提供、ウイグル問題周知用イラストより
https://note.com/tomomishimizu/n/nc6ca52579b2c
長年の公私に渡る不調和を正面から受け入れ、それを越える決意をし、様々な探究を実践。縁を得て、不調和の原因となる人間のマインドを紐解き解放していく内観法を会得。人がどこで躓くのか、何を勘違いしてしまうのかを共に見出すとともに、叡智に満ちた重要なメッセージを共有する活動をしています。