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インド聖地巡礼② ~MUNGER RAJ MANDIRのサードゥ・マハラージャ師~
インドで私たちが滞在することになっているMUNGER RAJ MANDIRは、高速を飛ばしてもデリー空港から車で3時間以上かかる場所に位置している寺院です。
寺院の所在地マトゥラーはクリシュナが降誕した地であり、そのために聖地の中でも最も重要な聖地という位置づけになっています。
その周囲数十キロに渡っても、もはや覚えることは諦めるくらいたくさんの聖地があり、日々人々が祈りを捧げているようです。
寺院の朝は、早朝4時半ころからのお祈りで始まります。
ホラ貝の音が始まりの合図となり、人々が静かに本堂の中に集っていきます。
厳かというより、寄り添うような優しい調べとともに祈りは進み、最後は月明かりの下で平伏して終了となります。
日本の寺院における勤行とは全く違う趣の、なんとも形容しがたい祈りの形。
このようなお祈りを、毎日数回執り行っているようです。
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この寺院の中心にいらっしゃるのが、サードゥ・マハラージャ師です。
近年はお身体の具合があまりよろしくないとかで、自室で過ごされることが多いそうですが、多くの信者や訪問者を気さくに自室に招き入れ、話をしたり食事をしたり、一緒に歌を歌ったりしています。
柔和な笑顔でいらっしゃることが多いですが、人の本質を静かに言い当てたり、目だけで会話をしてきたり。
明らかに地球上にいらっしゃる聖者のおひとりですね。
そういえば、寺院の敷地の外は割と通常のインド~埃まみれで、喧噪も激しい…~なのですが、寺院の中の空気は澄んでおり、常にキルタンという歌が流れている以外は明るい静寂に包まれています。
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ここの人々にとって、歌は本当に大切なものという位置づけです。
渡航3日目、寺院がアレンジしてくれた観光プログラムに参加したのですが、この日はちょうどクリシュナの母ヤショーダーの誕生日に当たっていた関係で、とある由緒のある場所でキルタンを奉納することになりました。
ただ音楽を奉納する、それだけだと思っていたのですが。。。
それが…永遠とも思える時間、続くのです。
一曲が終わるタイミングが来ても、絶妙の頃合いで次の曲が始まる。
即興でいろいろな楽器がセッションを繰り広げ、ある人は立ち上がって踊り出し、ある人は目を閉じて体を揺らしながら瞑想している。
この日は、誰もが飲食を忘れ、4時間くらい…そんなキルタンの奉納が続きました。
『インド時間』という言葉があるくらい、インドは時間にのんびりしていることは承知していましたけれども、
さすがにランチが夕方5時に差し掛かるような事態までは想定していませんでした。
私、最初のうちは、「この人たちはどれだけ歌ったら満足するのかなぁ?」と思っていたんです。
でも、途中でその認識がまったくズレているんだなということが分かってきました。
この人たちは、満足を得るために歌っているんじゃないんだわ。
もう既に満足していて、その満足した状態をずっと表現していたくて、喜んで歌い続けているんだ。
ずっと喜びを感じていて、歌という波動を、祈りの形で届け続けている。
参りました。
サードゥ・マハラージャ師はおっしゃいました。
歌は癒しである、と。
そして、人は心が開かないと、声が出せないものだ、とも。
私、歌は苦手なんだよな…と心の中でつぶやきつつ、
それでも皆の歌には大いに癒され、ここにしかないエネルギーがどんどん充電されるのを感じていました。
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