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自分の本当の望みは、本来の自分を知ることから
私の現在の生活圏は、ふつうの住宅地と中小様々な企業の事務所が混ざっているような地域で、飲食店もソコソコあります。
どちらかというと、チェーン店より個人経営のお店が多い印象です。
今のご時世ですから、それらの多くが大変な事情を抱えているだろうことは容易に想像できます。
そんな中、去年オープンしたばかりの近所の一軒が、度重なる自粛要請のさなかに撤退を決めました。
閉店をSNSで発表したその日、店舗の前を通ると、すでに看板も何もかも無くなって、シャッターに簡単な張り紙が一枚貼ってあるだけの状態になっていました。
このお店には、いろいろと思うところがありました。
もともと朝から夕方まで営業していたそのお店。
テイクアウトで何度か利用させていただいていたのですが、店舗自体は小さいものの、少し個性的なメニューをいくつも用意している、カフェのようなご飯処。
内装も、従業員の服装も、テイクアウト用の紙袋も、こだわりが随所に感じられる店舗運営。
とりわけ、開店してまだそれほど時間が経ってない頃から、別の業態のお店とのコラボ企画商品を展開していたのが印象的で、お店の隅に設置した棚にはロゴ入りグッズや限定商品などが並んでいました。
このお店に私が何を思っていたのかというと、敢えて率直に書いてしまうと、それは“そこはかとない違和感”です。
ここは、いったい何がしたいお店なんだろうな…という。
お店にはきっと「こうしたい!」という目標やビジョンはあったはずです。
でも、私からは「外からカッコよく見られたい!」という意識が強すぎて、それ以外の意識とバランスが取れていない感じに思えていました。
提供されるお食事、決して悪くはないんです。
でも、量にしても質にしても、最終的にどうしても物足りなさが上回ってしまって…価格との釣り合いも取れていないなぁと毎回感じてしまう。
お店側の都合上、帳尻を合わせておこう、このくらいのものでいいだろう、って感じがにじみ出てしまっているというか。
来店客に自分たちらしい価値を提供しようって頑張っている感じはあるのだけど、どこかズレている。
閉店の理由を、緊急事態宣言や自粛要請による影響としていたけれど、はてさて…。
一方で、しばらく行けていなかった別の一軒が、今月末で閉店しますという話が先日急に舞い込んできて、飛び上がるくらい驚きました。
そこは女将さんが一人で切り盛りしているキレイ目の小さい居酒屋で、ちょっとしたお料理の数々が身体に染み入るような優しい味。
特に裏メニュー(?)のおにぎりが絶品で、事ある毎に贔屓にしていました。
元々夜6時からの営業だったこのお店、時短要請をまともに受け、どうやっても継続が出来なかったのでしょう。
居ても立ってもいられず、様子を伺おうとその日の開店時間にお店に飛び込みました。
入ってみて、まず女将さんがケロッとしていることにまたビックリ。
聞けば、そこから少し歩いた先にもっと小さいお店を構えることにしたとのこと。
場所や広さは変わるけど、これまでと同じコンセプトでお料理とお飲み物を提供するんですよ、との一言に、ものすごくホッとしました。
今のお店、何年も営業してきて、もちろんご本人には外には出さないいろいろな気持ちがあるでしょう。
こだわったインテリアについては私もこれまでちょくちょく話を伺ってきているので、これが見納めかと思うと私自身もやるせない。
でも…次のお店についてやんわりと話す姿と、変わらない味、自然体な姿勢。
ああ、この人は自分自身をちゃんと把握していて、その望みにも忠実なんだなぁと改めで感じることが出来ました。
突然の閉店に驚いた私のような客が次々に来店してきたので早々にお暇しましたが、新店舗がオープンしたらまたいそいそと出かけたいと思っています。
自分が本当に望んでいることは何か?
これって結構大きな命題ですよね。
「これが自分の望み!」と思い込み、さまざまな物事に振り回される状況、私も大いに経験していて、そのトラップの巧妙さや執拗さには辟易してきました。
何が望みなのかを知るには、まず本来の自分にきちんと気づかないと、なかなか難しいです。
今、師匠のMOMOYOさんも何度か指摘している通り、嘘の通用しない世界が始まっていると感じています。
本来の自分に気づくため、堆積させてしまった思い込みや自分を守ろうとして作り上げた頑丈な鎧、色眼鏡…まずは一度、その存在を確認してみませんか?
≪巻頭写真:Photo by Silvestri Matteo on Unsplash≫
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