volca beatsをパラアウト化
volca beatsとは
まずはvolca beatsの概要を少し説明しよう。KORGが今から10年ほど前に発表した、ガジェット系シンセ「volca」シリーズのドラムマシンだ。
触ったことがある人ならわかると思う。キックのヤバさは今なお色褪せず、一定の人気を維持している。俺が初めて買ったハード機材も、この「volca beats」だ。
キック、スネア、タム、ハットはアナログ音源で、クラップなどのパーカッション系はPCM音源のハイブリッド型。
とにかくキックの評判が良く、タムも良い。ハットも個人的に好きだ。スネアはショボい。「ショボいけどこれが良いんだよ!」みたいな人もいて、俺もその一人。実際、他の楽器と鳴らすと埋もれないから。
パラアウトって?
ドラムマシンは他のシンセと違って、先に上げた4〜8種の音が鳴るシンセサイザー。それらの音を一つにまとめて出力するタイプと、各パートで音が出力できるタイプがある。
パラアウトってのは、各パートで出力するタイプのことだ。海外だと「indivisual outs」と呼ばれているので、検索などする時はこっちを使おう。
肝心のvolca beatsはパラアウトには対応しておらず、出力は一つしか無い。実は各パートには音量差が結構あって、パートごとにレベル設定できるが小さいツマミでの調整はかなりシビア。
他にも、キックの中域を削りたいとか音の調整したい場合、ミキサーのEQで調整しようにも全てのパートに影響してしまう。PAN振りも出来ないし、ドラムマシンをがっつり使い込みたい人にはやや物足りない。
それを解決するのが、パラアウト化の改造だ。
改造の手引
まず必要なもの
・3.5mm モノラルジャック 5個
・極細配線材
上に書いたのは本体に取り付けるパーツだ。ハンダゴテやドリルなどは割愛させてもらう。
volca beatsは「キック、スネア、タム、ハット、PCM」の5つの音源で成り立っているので、必要なジャック数はまず5個となる。
配線材は極細を用意しよう。後述するが、スネアの配線がとても細いからだ。使ったものと参考にしたサイトを載せておく。
参考サイトが英語なので、苦手な人のために続きを書いていこう。
ジャック取り付け
このように穴を開けて取り付ける。中の基盤とぶつからないよう、筐体の下側を開けよう。
下につけすぎたせいか、ワッシャーが収まらなかったのでボンドで接着した。それでも基盤にギリギリなので、はじめからボンドで接着する考えのほうが良いかもしれない。
配線方法
以下の写真のように接続すれば良い。ま、参考サイトと同じなので特筆することもないか。
ジャックへは青丸で囲った部分に接続しよう。繋いだジャックが各パートの出力先だ。
スネアとキックは基盤に文字が無いので注意して欲しい。特にスネアはホワイトノイズのそばにある小さな穴へと接続する。この穴が非常に小さいので、極細の配線材が必要となる。
アース
アース配線は以下の手順で。
赤丸を繋げばアース配線は終了。参考にしたサイトが直列で繋いでいたので、それに準じている。保険でビニールテープなどで絶縁処理をしよう。
後は、蓋を締めて完成だ!
期待通りの効果
各パートをミキサーで処理できると、volca beatsの魅力がさらに出てきた。埋もれがちなPCM音源パートも前に出てきたし、PAN振りすることで全体に広がりを持たせることも可能に。
ショボいと評判のスネアもEQ処理が可能となり、何より音量調整が簡単になってバランスが取りやすくなった。
他のドラムマシン買えば良くない?って思うかもしれないが、このサイズでアナログ音源で凶悪なキックを持ってるドラムマシンなんて他に無いのよね。
というわけで、volca beatsの改造をまとめてみた。
この記事を書いた理由は、日本語のサイトが見つけられなかったからで、もしかしたら役に立つのでは?と思ったからだ。
当然、こういった改造はメーカーの保証がなくなるので、覚悟を決めてやってくれ。
KORGがvolca beats 2を出すその日が来るまで、この改造でvolca beatsを楽しむとしよう。