ちょっとインド気分
映画を観に行くときは概ね「観たい作品があるから映画館へ足を運ぶ」という順序であることが多いのですが、先週の水曜は「え、映画館で何か観なくては・・・」という状態だったので、何か目ぼしいものはないかと検索した結果『パッドマン 5億人の女性を救った男』を観てまいりました。
愛する妻のため、自力での衛生的かつ安価な生理用ナプキンの開発に挑戦した男ラクシュミの奮闘記。実話に基づきます。
映画の舞台が2001年のインドだったので、若い人からしたら一昔前のお話と感じられるかもしれませんが、わたしはそんな最近の話だったのかと驚きを禁じ得ませんでした。
今の日本においてもあまり開けっ広げに話題にすることではないかもしれませんが、あそこまでの「穢れ」「タブー」という感覚は薄れているように思います。
寒い地域でないとは言え、生理中の人は部屋に入らず外で眠るとかちょっと「オゥ・・・」でした。まあそれはそれで気持ちいいかもしれないけど。
市販の生理用品が高価すぎるため、大切な妻ガヤトリの身を案じて何とか自分で作ろうとするも失敗を繰り返しては改良品を作ろうと奮闘し、しかしその振る舞いがよその人々の目に留まってしまい「何あの人ヤバ・・・」と誤解を受け、行動を起こすきっかけであった奥さんの理解すら得られない状況でもなお諦めずに挑戦し続けるラクシュミ、真に無意識の起業家である。
理解者ゼロの「あいつトチ狂ったな」「変態じゃね」みたいな扱いにも負けずに信念を貫くこと、困難な道であることは想像に難くありません。
ましてやそれは自分の利益のためでもなく。
語彙がないので、ただ「すごい」としか言えない。
日本とは逆に人口増加が問題となっているインドですが、劇中のとある人物のスピーチにおいて「10億の人口ではなく、10億の頭脳があると考えればインドの未来はきっと明るい」的な事を言われていたのが印象的でした。
ちょっと良い演説など聞くとすぐにスタオベしたくなってしまう人間なので、今作でも2回ほど心の中で「Bravo!!!」と言いながら拍手喝采しました。
特許取得したら自分に膨大な金が入ってくるってのにそんなことには目もくれず、衛生的な生理用品の普及への足掛かりを作ったのみならずそれに付随して女性たちの自立をも手助けするとか、スーパーヒーローと言わずしてなんと言えようか。
そしてこういった実話を基にした映画でも、お約束の歌って踊っては(他のインド映画に比較したら短いかとは思いますが)しっかり取り入れられていたので、インド映画大好きな人にも安心してお勧め出来るかと思います。
ロケ地がどこなのかは分かりませんが、インドらしい美しい風景や美味しそうなお食事も見られるのでインド好きの人も観て損はなし。
久方ぶりにIncredible Indiaを訪れたいような気分になったのでした。
おわり