進撃の巨人を読んだわたしの話
【!】『進撃の巨人』の内容ふれてるよ
思えば高校を卒業した頃から、漫画という媒体とはほぼ縁のない生活を送ってきました。
大袈裟な話ではなく、大人になってから読んだ漫画といえば半ば無理やり貸された『MASTERキートン』くらいのものではないでしょうか。
結局あれも面白く読んだんだよな。砂漠で生き延びるにはスーツが意外と有効で、みたいな話しか覚えていないが。
そんなわたくしが久しぶりに手に取った漫画、それは『進撃の巨人』でした。
べらぼうな人気を誇る漫画ですからそのタイトルを知ってはいたけれど、特に興味を抱くことはありませんでした。
唯一のささやかな接点は今から遡ることおよそ3年前、乗っていた飛行機の中で実写版の映画を観ることが出来たため(数少ない日本語の映画ならばこれを観るか・・・)とばかりに観始めたはいいものの、三浦春馬をはじめとする登場人物たちは全員吹き替えでロシア語を話しておりさっぱり内容を理解できないうえになんか人間が食べられ始めたりしたので、隣席の少年の情操教育上よろしくないのでは・・・?と思ったわたしは数分で鑑賞を中止したのでした。
なんで三浦春馬たちがロシア語を話していたかというと、それはわたくしの乗っていた飛行機がアエロフロートであったためです。
で、そのまま特にご縁もなかった『進撃の巨人』でしたが、今年9月に1~28巻無料公開&最新巻である29巻も今なら100円!とかいう謎の出血大サービスなキャンペーンが打たれていたため、三連休に別段予定もなかったわたしは(どれどれ・・・ちょっと読んでみようか・・・)くらいなテンションで読み始めたのです。
したらよ。
なんだべこれは。
べらぼうに面白れえ。
初読:謎だらけであった世界の色々が少しずつ解明されていき、読者たる自分と登場人物が同じペースで新たな事実を知ることが出来る。
初っ端から、まだ幼い主人公の目の前で母が食われるというかなりの地獄を見る。
再読:あーーーーここでのこいつのこの言動にはあんな意味があったのか・・・!的な発見がある。
何も知らずに読んでいたときとはまた違った見え方がある。
再々読:かなりなスピード感を持って話が進むあまり、なんとなくフワッと読み進めていた部分をメモを取るなどしながら細かな理解に努めて読む→理解が深まりより一層面白い。
これが延々続くので、一生読める。
そしてけっこうな人数出てくる登場人物たちが、それぞれ違った魅力を持ち、読めば読むほど好きな人物が増えていく。
また、当初は「巨人vs人類」という単純な善悪構造を成しているかのように見えたのに、物語が進むにつれて完全な白と黒で分けられるものではなくなり、それぞれがそれぞれの事情を抱えていることが判明してよりいっそう勧善懲悪とは程遠い残酷な世界が広がっていく。
こ、これはすごい・・・。
わたしの目下の最たる関心ごとはリヴァイの安否なのですが、いや地ならしとかよりリヴァイだろ、まあたぶん生きてんだろとは思うんだけどさ、でもあれ単純にリヴァイの生き死にってとこだけ見てもさ、幼少の頃にお母さんすぐそばで死んじゃって、叔父であることを隠して死にかけてた自分を助けてくれた育ての親みたいなおっさんもフラッといなくなっちゃってさ、若くして不本意ながらも調査兵団に入ったら自分を慕ってくれてたゴロツキ仲間を巨人に食われて失い、それを経て信頼できる仲間が出来たと思ったら部下はばったばた死んでいくし忠誠を誓っていた団長はなんか自分の夢がどうとか言い出した挙句死んじゃうし、しかもその生死を握っていたのは他ならぬ自分だし、遠い親戚にも当たる部下には「あのチビの異常性には最初から気づいてた」とか言われるし、胡散臭い髭もじゃには「モテねえだろ」とか言われるし、このまま死んでしまってはあんまりじゃない???
そして彼と仲良しのハンジのことを考えたらよ、彼女だってミケとかナナバとか長いこと志を共にしてきた仲間や自分の班にいた部下たちを次々に失い、ずーーーーっと献身的に支えてくれたモブリットを失い、ほぼ同時に頼れる団長であり仲も良かったであろうエルヴィンを失い、しかも次の団長とかいう責任重大な立場に立たされてマッドサイエンティストでいる暇もなくなり、エレンは勝手なことばっかしだしてまたどっか行っちゃうし、そらオニャンコポンとか新たな仲良しが現れたとはいってもさ、ハンジからリヴァイまで奪うのはあんまりじゃない??????
ということでリヴァイとハンジに幸あれ。まあ幸なさそうな気もしますが・・・。
そろそろ川からふたりを引き揚げる気はありませんか、諌山創。
そんなリヴァイは本当に、完璧すぎる。
意味が分からないほどに強く、ちょっと笑うだけでビビられるくらい愛想もなく口も悪いのに、その実おそらく登場人物中いちばん優しい。
君は見たか?ハンジの容赦ない言葉に慄くアルミンに向けたリヴァイの表情を・・・(21巻113頁参照)(いやでもあそこはハンジの気持ちもめっちゃわかるよね・・・)。
フロックに刃を向けようとしたミカサを制止したのも、シャーディスに強い言葉をぶつけたハンジを止めようとしたのも、リヴァイである。
優しいだけではなく、よく気が付く(17巻159~160頁等を参照)。
が、ジークに対しては諸事情もありかなり当たりが強く、口いっぱいに刃物をぶっこんでおきながら問いかけて「返事をしろよ、失礼な奴だな・・・」つって刃物ぐいぐい押し込んでいくなどのユーモアも見せる(ユーモア?)(20巻127頁参照)。
そして掃除がめちゃくちゃ出来る。
パーフェクト、パーフェクトである。
頼む、生きていてくれ。ハンジのためにも。
ところでわたしはリヴァイがライナーの首と胸をぶっ刺したにも関わらず「意識を全身に移した」とやらで仕留め損なったこと、納得していませんよ・・・フフ・・・。
そしてもうひとり気になっているのがアニです、アニ。
アニ、このまま目覚めずに眠ったまんま終わるのか?そりゃあないよな?
ここ最近でなぜかアニのことめちゃくちゃ好きになったので、マルコの件では本当ライナーに対して「は?」という感想しかないんだよね。
本当、「は???」としか思わないんだよね。
頭では分かってるんだけどさあ、ライナーもアニと同じような苦しい立場に置かれたが故の「なんで・・・マルコが・・・食われてる・・・(涙目)」なのも分かるんだけどね、しかし「はい?????」としか思えないんだよね。
アニに嫌な役回りを押し付けやがって・・・。
そして直後(19巻119頁)のズズ・・・てなんかあったかいもん飲んでる顔がまたムカつくんだよね。
でも彼を見るベルトルトの(こいつマジ何なん・・・?)みたいな表情がちょっと笑えるんだよね。アハハハハハハ
アニも幸せになってほしいよ・・・。なれそうな気がしないが・・・。
他主要人物たちの中ではサシャとコニーのこともかなり好きになっていたので、ウウッ・・・サシャ・・・・。
でも最期の言葉が「・・・肉」なのは本当に最高だよサシャ・・・。
しかしコニーさあ、コニー好きなんだけど、サシャが死んだときのこと「なんでエレンは笑ったのか」つってるけどさあ、そりゃ「最期なにか言ったか」て聞いて「『肉』って言ってた・・・」て言われたら思わず笑わない???わたしは笑わずにいる自信がないぜコニー・・・。すまんコニー・・・。
マーレからはるばるパラディ島までちょっかい出しにやってきた人々についても、上の方に「胡散臭い髭もじゃ」とか書いたけど実際ジークのこともかなり好きだし、髭に眼鏡の人すぐに好きになりがちなので、なんならエレンよりジークの方が好きだし、ピークちゃんも力の抜けた感じがとっても好きなのである。やってることは脱力系とは程遠いが。
好きになった人々のうちあとどれだけ生き残ることが出来るのかもよく分かりませんがどうやら物語はかなり終盤に差し掛かってるっぽいので、(こないだ読み始めたばっかなのにもう終わっちゃうの寂しいな・・・)という感情と(終わるのは寂しいが結末は気になる・・・)(どうせなら完結してから一気読みすりゃ良かった・・・)という気持ちが綯い交ぜになっているこの頃です。
とりあえずリヴァイの生存を確認させてくれ、後生ですから・・・。